日本人は断るのが苦手、というのは周知の事実かと思います。「何と断って良いかわからず、つい誘いを受けてしまう…。」という経験がある方も多いのでは。
ふと考えてみると、英語文化では「断り切れなかった」という言葉はあまり聞きませんが「断るのが申し訳ないと思った」という感情がないわけではありません。この記事では、その「申し訳ない気持ちを出しつつ上手く断る技」を伝授いたします。
シーン別「英語の断り方」をご紹介
どうしたら上手に断れるのか。それはTPOによりけりですが、パターンとしては以下のように分類することができます。
- 相手の気持ちを考えすぎず素直に断る。(友人からの遊びの誘いなど)
- 相手を納得させて断る。(上司からのプロジェクトの誘いなど)
- 次に繋がるように断る。(クライアントからの依頼など)
どのパターンも理由を明確にすることが大切ですが、どういった言い回しがあるか、そして心理的背景について一般論を説明しながら、断り方を紐解いていきたいと思います。
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友人からの誘いを断る場合
この返答を見て「そんな事言っていいの!?」と驚かれた方もいるのでは。
大丈夫、この返答で全然問題ありません。誘いを断ったからと言って「私、何か悪いことしたから断られたのかなぁ」と考える方はごく少数でしょう。「今日はどこにも行きたくない」という気持ちが誰にでもあるのは当たり前、ではありませんか?それでもあれこれと考えて「断りにくいから無理して映画に行こう。」と考えるのが日本人です。
そうは言っても、勘違いされない断り方をしたいもの。「何故今日は家でゆっくりしていたい気分なのか」を加えることが出来ればより「やんわりと」断ることができます。英語の「やんわりと」は言葉を濁すことではなく、相手にわかるように説明することです。
「今週は仕事でずっと忙しかったから、」
I’ve been busy at work the whole week so:
I wanna spend some time with my family/partner.
(家族/パートナーと時間を過ごしたい)
I need to do some house admin.
(家の仕事をやらないといけない)
I need to get some sleep.
(寝たい)
I’m too exhausted to go out.
(疲れすぎていて出かける気にならない)
など、自分の時間をどのように使いたいかを伝えることで友人が気を悪くするのを避けられるはずです。

日本文化の中では、なかなかこれが通じないものですね!私は日本で生まれ育ちましたが、逆カルチャーショックを受けることTOP3に入るのがこの「断り方」です。特に仕事関係で親しくなった方からのプライベートの誘いを断ると、後から「実は嫌われているかと思った」と言われることもしばしば。しかし、そのような個人個人の想いを予測して自分が無理することはありません。
上司からのプロジェクトの誘いを断る場合
何かを任されるということは名誉なことであり、そのように自分を評価してくれた上司に対してお礼の気持ちを最初に伝えることは重要です。しかし、その期待に応えることがいつも賢明とは限りません。無理して役目を引き受けることで相手を失望させる結果にもなり得ないのですから、その役目を引き受けられないと思う理由を述べ、更に「いつだったらできるのか」などを提案することがお勧めです。
上司「あなたが適任なので、やってもらえませんか?」
You would be the best person to play this role in the project. What do you think?
あなた「私(への任命を)考えて頂いて感謝致します。でも、私が適任かはわかりかねます。」
I appreciate for considering me. But I am not sure that I’d be the best person.
▶︎ その後に続くべきなのは「なぜなら…(理由)」+「提案」
- I’m quite occupied by other project. The project is at the final stage so I cannot fall behind now. I can avail myself after the end of next month.
(他のプロジェクトで手がいっぱいです。このプロジェクトが最終段階なので今遅れるわけにはいきません。来月末でしたらお手伝いできます。)
- I have a lot on my plate at the moment. I don’t think it’s good idea to commit to take up another role and make both project delayed. Do you have any other person in mind?
(今は余裕がありません。他の役割を引き受けてしまい両方のプロジェクトに迷惑をかけるということは避けたいと思います。他に誰か、適任者はいそうですか?)
ここでもう一つ大切なのは、一言目で断ることです。日本語では理由を先に述べて結論に導く方法が一般的ですが、それでは聞き手が「何を言いたいのだろう」と迷いながら耳を傾けることになってしまいます。最初に「できない」とズバリと言い、その理由を補足する、という話法を身に付けましょう。
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クライアントからの依頼を断る場合
クライアントからの依頼を断る理由が何であれ、今回はダメでもまた声を掛けていただきたいものです。しかし、ビジネス上の理由、守秘義務の理由などから、断る理由を明確にできない場合があります。そんな場合でも次に繋がるように断るには、丁寧な定型文+パーソナルなメッセージを取り込むことがお勧めです。
以下は、「クライアントから日本旅行中のガイドの手配の問い合わせに、断りの返答をする」場合の例です。
Thank you for your inquiry. Your itinerary looks very interesting, including both cultural and sub-cultural sightseeing in Japan. Unfortunately, we are unable to serve you this time. We have high volume of bookings and our staff are unavailable during that period.
(お問い合わせありがとうございます。文化的な面とサブカルチャーの両方のあるとても興味深い日本観光の計画ですね。残念ですが、今回はお役に立てません。その時期はご予約が多く、スタッフをご用意できません。)
We would love to assist your travel next time. Our guides are knowledgeable in both areas and have vibrant personalities that your clients will enjoy spending time with. We hope to work with you in the near future. I hope you will have a great time in Japan.
(次回のご旅行の際には是非お声かけください。私どものスタッフはどちらの分野も知識があり、素晴らしい個性があるのでご旅行されるお客様も楽しんでいただけるかと思います。近い将来一緒にお仕事させていただけることを楽しみにしております。日本旅行が楽しいものとなるようお祈り申し上げます。)
このように、単に断りの文章ではなく相手のリクエストを取り込んだメッセージを送ることで相手の依頼を理解しているという誠実さが伝わります。
まとめ
三通りの「断り方」をご紹介しましたが、どのパターンにも共通することがあります。
- はっきりと断ること。
- 理由を伝えること。
- 次に繋がる言葉を付けること。
この3つを守れば、あなたの誠実さと、相手を想う気持ちが伝わるはずです。断ることを悪い事と思わず、コミュニケーションの機会と捉えてみましょう。断り方にあなたの人となりが表れ、あなたにもっと好感を持ってもらえる機会となることもあり得るでしょう。
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友人「今夜、映画に行かない?何か予定ある?」
Do you wanna go to see a movie tonight? Have you got any plans?
あなた「ううん、今日は家でゆっくりしたいから行かない。」
No… I just wanna chill at home today.