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学校英語のあいさつを通訳者目線で解説
① Hello, hi, good afternoonは、全部同じ意味?
イギリスの寄宿制の学校の生徒は、昼の12時くらいになると時計を見てGood morningと言うかGood afternoonと言うかを確認します。この場面に出会って、イギリス文化での挨拶の重要さを感じた事があります。文化によって受け取られ方が違いますが、上司やビジネスの相手には Hiだとカジュアル過ぎると見られることがあるようです。そうかと思えば、「上司に対してそんなにフランクに話す?」と驚かされることも多々あります。ビジネスのシーンではGood morning/afternoon/eveningを使うのが無難ですね。慣れて来たら言葉を崩すことで相手との距離が近くなるので、最初はフォーマルに、様子を見て出来ればフレンドリーに、と変えて行くのがお勧めです。
英語の文化では、挨拶の後にその人の名前やSir, Ma’am, mate, darlingなどなど敬称や愛称をつけることが多くあります。
” Good morning, Kelly.”
② 自分の名前を言う時「My name is…」とは言わない?
そんな事はありません。会ったことがない人からの電話では、I’m…よりもMy name is の方が一般的と思えるくらいです。面直の自己紹介では「I’m (名前)」と言う事の方が多いかな、という感じがしますが、My name is と言っても特別おかしくはありません。何が違うか?強いて言えば、My name is の方がフォーマルなイメージです。
ニックネームはありますか?初対面で外国人にフルネームを紹介しても、覚えられる人は殆どいないでしょう。フォーマルなビジネスミーティングやEメールアドレスでも自分のニックネームを使うことは割と一般的です。例えば、Bill Gates. 彼の本名はWilliamって知っていましたか?大抵のBillの本名はWilliam。Brad Pitt、彼のファーストネームはWilliam、ミドルネームはBradlyです。ビジネスのシーンで自分をニックネームで紹介する。これがお勧めの上級者自己紹介です。
“I’m William Gates. You can call me Bill.”
③ 「よろしくお願いします」という表現はない?
直訳するとPlease. で、私たち日本人が使うのと同じ意味にはなりません。「(ふつつかものですが)これからあなたと良い関係を作っていきたいと思います」という謙虚な姿勢が「よろしくお願いします」という言葉に表れている、とても日本的な表現です。英語では”Nice to meet you.” 「あなたに会えて良かった」と言いますが、英語ネイティブの感覚では、知らない人に会うと「あなたに会えて嬉しい」「あなたの事をもっと知りたい」という気持ちが言葉に表れているようです。
Nice to meet you、はいつでも使える表現ですが、強いて言うなら少し「固め」。では、ネイティブが他に使うのはどんな表現でしょうか?
Good to meet you.
It’s wonderful to meet you.
I’m pleased to meet you.
など、色々なバリエーションを作ることができます。とっさには出てこないかもしれませんが、自分なりの表現ができるようになると良いですね!
How are you doing? と言いながら握手を求め、そもそも”Nice to meet you” 的なセンテンスを言わない人も割と一般的です。これは、“How do you do?” というビジネスでも殆ど使うことがないくらいフォーマルな表現を崩して使っているという説もあります。
“Nice to meet you!”
④ 「~から来ました」と「~で働いています」は同じこと?
日本で取引先やビジネスパートナーに自分の会社、所属を話す時は「私は〇〇会社から来ました」と紹介しませんか? 英語も、これで大丈夫です。” I’m from 〇〇 company.”
では日本語で「私は〇〇会社で働いています」と言うときはどんな時でしょうか? これは仕事とは関係のない場合です。” I work for 〇〇 company.” 現在形でOKです。
もしも相手があなたの仕事について事前に情報を持っていない場合は、”It’s an IT company specialised in internet security.” や “It’s a market research company specialised in mobility” などと会社の概要を次に付け加えることがお勧めです。
” I’m from 〇〇 company.”
⑤ 自分の事を紹介するのは難しい?
“I’m…”「私は~です」で、自分の職業、家族構成、趣味、目的など色々な事を話すことができます。英語の会話では自分の事をたくさん話し、相手のこともたくさん質問する、という文化があります。自分のことについて紹介してから、”How about you?” と相手の事について聞くのが良いマナーです。
「職業」を話す時は “My occupation is an engineer” の代わりに、
I’m an engineer. (私はエンジニアです。)
「家族構成」を話す時は “I have a wife and 3 children” の代わりに、
I’m a husband and a father of 3. (私は奥さんと3人の子供の子供がいます。)
「趣味」を話す時は “My hobby is rock climbing”の代わりに、
I’m a rock climber. (私はロッククライマーです。)
「ここにいる目的」を話す時は “I came here to do market research” の代わりに、
I’m here for market research. (私はマーケットリサーチのためにここに居ます。)
どうですか?とてもシンプルですよね!
この一つ一つのセンテンスの後に “How about you?” これで完璧です。
次回の記事のテーマは「スモールトーク」です。挨拶を交わし合った後にどんな会話ができるか、準備をしましょう!
まとめ
「中学英語」を話すと恥ずかしいと思っている方が多いように思います。でも「中学英語」は私たちが思っているほど悪いものではありません。中学校卒業までに習う英語がしっかりできていれば、海外で英語を話す土台はできています。それに、一番大切なのは知っている単語や文章を使って意思を通じさせることです。そして恥ずかしがらず挑戦し、失敗してもめげないメンタリティーがあれば必ず上手に英語が話せるようになります。海外進出がスムーズで楽しい体験となるように、英語を「頑張る」ではなく「楽しむ」ように学べると良いですね。応援しています。
学校で英語の授業が始まってすぐに習った、挨拶と自己紹介。でもそれは「学校英語」で、そのまま使えないと思っていませんか?そんな事はありません。ちょっと表現を変えるだけでネイティブの表現になります!ネイティブ英語は、こんなにシンプルなんです。