厚生労働省「外国人雇用状況」の調べによると、2022年時点での日本の外国人労働者数は182.3万人と発表されました。新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた2021年を除いては、2016年頃から上昇率が増加し、過去10年では約4倍となっています。
先日も東京では、雪の影響で交通網が乱れ通勤に大きな影響を及ぼしたことがありましたが、そういった悪天候や、地震や台風などの自然災害の影響のために外国人従業員に対しての安全確認や、出社を控えるようにとの連絡をする必要が生じるのではないでしょうか。今回の記事は、そういった場合に役に立つ英語をご紹介致します。
緊急時、外国人従業員をどうサポートする?
災害時に行う安全確認や出社指示などの「もしもの時の英語表現」を、従業員をサポートするフローに沿って解説していきます。
- 安否確認
- 情報共有
- 非常時の指示
- 注意喚起
- フォロー
安否確認
地域で自然災害が発生した際には、まずは従業員の安否確認をすることが必要になります。外国人従業員に電話をかけ、次のセンテンスを使うことができます。
様子を見るために電話しています。 | I’m just checking in. |
大丈夫ですか? | Are you okay? |
安全ですか? | Are you safe? |
どんな気分ですか? | How are you feeling? |
怪我はしていますか? | Are you injured? |
救急車は必要ですか? | Do you need ambulance? |
助けは必要ですか? | Do you need any help? |
誰かと一緒にいますか? | Do you have anyone with you? |
食べ物と飲み水はありますか? | Do you have food and drinking water? |
避難する場所はわかりますか? | Do you know where to evacuate? |
上記のセンテンスで従業員の安否の確認と、状況の把握をすることができました。
次は、勤務先の状態や交通網について連絡するためのセンテンスを学びましょう。
情報共有
日本語を使って仕事・生活をしている外国人でも、テレビのニュースを理解し、状況を把握するだけの語学力を持つのは難しいものです。雇用者から外国人従業員への情報共有は、以下のようなシンプルな文章で伝わります。
(道路の名前)は、洪水のため通行止めです。 | (Then name of the road) is blocked because of flooding. |
(路線の名前)は、運休しています。 | (The name of the line) is out of service. |
復旧の見通しはついていません。 | They don’t know when it will resume. |
(地域の名前)は災害の影響を大きく受けていて危険です。 | (The name of the area) is heavily affected and it’s dangerous. |
地震のために停電しています。 | Power is down because of earthquake. |
地震のためにトイレが使えません。 | Toilet is out of service because of earthquake |
上記の下線部、「~ために」と入れ替えられる、災害の種類の例は以下です。
地震 | earthquake |
豪雨 | heavy rain |
洪水 | flood |
台風 | typhoon |
津波 | tsumani |
豪雪 | heavy snow |
火事 | fire |
嵐 | storm |
「豪雨」はTorrential rainと言う方が災害を起こすほどの気候には適していますが、heavy rain、または単純にrainでも大丈夫です。「豪雪」についてもsnowfall, snowstormなどの言い方もありますが特に気にしなくてもこの場合では十分です。
非常時の指示
状況を伝えた後は、その従業員が取るべき行動を明確に指示して混乱を招かないようにしましょう。
今日は出社しないで下さい。 | You don’t need to come to work. |
家で安全にして下さい。 | Stay home and be safe. |
今は待機して下さい(出社する可能性がある時)。 | You can wait at home for now. |
後で仕事に来てもらうかもしれません。 | I might call you to work later. |
明日から出勤して下さい。 | You can come to work tomorrow. |
明日の出勤についてはまだ未明です。 | We are not sure about tomorrow yet. |
明日私からの連絡を待って下さい。 | Wait to hear from me tomorrow. |
英語が日本語の直訳になっていないことにお気づきでしょうか?日本語では丁寧な言い方をするために「~して下さい」と言いますが、この場合は英語では「Please」を使った文章では不自然です。命令形で言う場合もありますが、You can- を使うと自然で、やや柔らかい表現となります。
「命令形」と言われる「動詞+目的語」の文型。「命令」と言う言葉を聞くと、お母さんが子供に「寝なさい!」というような言い方なのだと感じる人が多いのでは。しかし、英語圏では命令のような強い意味を持つ場合ばかりではなく、友人同士は勿論、接客やビジネスの場面でも広く使われています。映画やドラマを観る時に、少し気を付けて聞いてみると勉強になります。
注意喚起
以下の注意喚起のセンテンスは、ホテルやレストランのお客様の声かけとしても覚えておきたい文章です。自社のホテルやお店を出た後の安全の気遣いをすることも大切ですよね。
今晩は大雨が予想されています。 | It’s going to rain heavily tonight. |
出かけるのであれば、気を付けて下さい。 | Please be careful when you’re outside. |
水害の危険もあります。 | There’s a risk of flooding. |
ホテルの外に出ないことを強くお勧めします。 | We strongly suggest you to stay in the hotel. |
洪水の危険があるので川には近づかないで下さい。 | There might be flooding so stay away from the river. |
土砂崩れの危険があるので山には近づかないで下さい。 | There might be landslide so stay away from the mountains. |
地震予報が出ています。 | Earthquake is predicted. |
ビジネスを経営される方は、自社の地域で起こる自然災害や影響に応じて、マニュアルを作成しておくと良いですね。情報共有や注意喚起も、重要なサービスの一つとして取り扱っていきましょう。
フォロー
最後に、外国人従業員に安否確認の電話をかけたとき、または外国人利用客への気遣いを表す表現をご紹介致します。
何か必要なことがあれば電話して下さい。 | Call me if you need me. |
何か必要なものがあれば知らせて下さい。 | Let me know if you need anything. |
ご安全に。 | Be safe. |
連絡を取り合いましょう。 | Stay in touch. |
私がついていますよ。 | I’m here for you. |
明日また話しましょう。 | I’ll talk to you tomorrow. |
安否を確認するだけではなく、自国の外で災害の渦中にいるという不安を払拭してあげられるような「心のこもった声かけ」をしてあげましょう。
上記のセンテンスはいわゆる「命令形」ですが、利用客に対して使っても不自然ではありません。気になるようであれば、先ほどご紹介した“You can”を使って “You can call me…” や “You can let me know…” と言うこともできます。
まとめ
この記事でご紹介した非常時のコミュニケーションの流れと英語のセンテンスは、経営者の皆さんがマニュアルを作成する際の「たたき台」として活用していただけると幸いです。自社の環境やこれまでの経験を交えて、より現実的で質の高いものを作ると良いですね。皆さんがどんなシーンでも英語をすぐに使える環境を作ることを、応援しています!
「こういった場合の英語が知りたい」というリクエストも、お待ちしております。
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