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英語の省略形には、アポストロフィー「’」を使って短縮する場合と、2つの単語を組み合わせる場合があります。アポストロフィーを使う短縮形は英語の授業でも習いましたが、「使うと(または使わないと) どういう印象を受けるのか」ということまでは教えられなかったのではないでしょうか。2つの単語を組み合わせた短縮形についてはスラングの場合が多く、学校ではごく限られたものしか教わっていないはずです。今回の記事では短縮形についての理解を深めていきましょう。
代表的な3つの短縮形
英語の省略形には色々ありますが、今回は一般的に使われる3つのパターンをご紹介いたします。
① 二つの単語をまとめる短縮形
Wanna, gonna, lemmi (参考サイト)
②「’」を使う短縮形
I’m, You’re, We’ve, He’d, She’s (参考サイト)
③ 喋るように記載する短縮形
‘em, ‘cept, ain’t,
それでは、それぞれの短縮形を、いつ、誰に対して使われるべきか、使うとどのような印象を与えるのかを学んでいきましょう。
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① Wanna, gonna, lemmi =カジュアル
顔見知りの人との会話。友人、お店、レストランなど。
文化や世代によって受け取られ方が変るので、一概には言えませんが、アメリカではより一般的にこういった表現が使われるようです。
例えば、”I wanna eat breakfast” というwannaの使い方は「子供が喋るような言葉」と聞いた事がありませんか?
では、どう言えば良いのかと言うと wanna をI’d like to-に置き換える、というのが定説です。しかし問題は、かなり丁寧な言い方になってしまい、同じニュアンスではなくなってしまいます。
gonna, lemmi については子供が話しているというようには聞こえませんが、ビジネスの会話としては適当ではありません。友人同士であれば使うことには問題はありません。
日本語に例えるならば、
「していない」=「してない」
「変わらない」=「変わんない」
というような短縮形と似たニュアンスと考えられます。
Wannaの言い換え表現
それでは、I wanna eat breakfast を同じようなカジュアルなニュアンスで言うとしたら、あなたならどう言いますか?以下の表現は丁寧すぎず、きさくな印象のある表現です。
I’m keen for breakfast.
How about some breakfast?
Should we get some breakfast?
I’d love some breakfast.
I wouldn’t mind some breakfast.
積極的に使って、表現方法のバリエーションを増やしていきましょう。
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② I’m, You’re, We’ve, He’d, She’s=フォーマルOK
この短縮形は➀とは違い、どんな場合に使っても全く問題ありません。
話し言葉では、逆に使わないと、センテンスが千切れているようで、変な感じがするほどです。
なので、I am, we are, などと意図を強調したい時に意識的に利用されることがあります。
例えば、
A. Yes, she’s trained as a chef.
B. Yes, she has trained as a chef.
(彼女は料理人としての訓練を受けている)
の2文を比べると、Bの文章では、「過去に訓練受けた」という部分が意図的に強調されているように聞こえます。

日本語でも同じように、自分気付かないうちに書き言葉と発音が違ってくるものです。「ありがとうございます」の「す」は、何故「SU」ではなく「S」と発音するんだ、と日本語を学ぶ生徒によく質問されます。
「お疲れ様です」、「おはようございます」、も「SU」と発音すると少し柔らかい印象になるのではないでしょうか?
仕事で交わされる挨拶は「おはようございまS」と聞こえているようです!
③ ‘em, ‘cept, ain’t, =特殊なケース
こういった短縮形は、その地域の訛りを表現するのに、効果的な技術です。
アメリカのテキサス州やスコットランドの訛りを表現するために、このような書き方をするケースが見られます。特に物語、映画の英語サブタイトルで使われています。
下記の写真は、アメリカの作家の作品の一部です。
省略系がたくさん使われた、兄妹の会話を読んでみてください。


学校に行かず、Swampに住む兄と妹が、家を出てからしばらく帰って来ない母親について話しています。
原文:“I dunno (don’t know). She’s (she was) wearin’ (wearing) her gator (alligator) shoes.”
和訳:どうだろう。彼女はワニの靴を履いていたからなぁ。
原文:“A ma (mother) don’t (doesn’t) leave her kids. It ain’t (isn’t) in ‘em (them).
和訳:母は子供を置いていかない。できないんだよ。
原文:She’d’ve (she would have) starved to death if she’d (she had) tried to feed herself ‘n’ (and) her kits (kids).
和訳:彼女が子供にもご飯を食べさせようとしたら、飢え死にしたに違いない。
原文;Ma (our mother) ain’t (is not) starvin’ (starving), she’ll (she will) be back.
和訳:私たちのお母さんは飢えてはいなかったから、お母さんは帰ってくるよ。
まとめると、このような短縮形の規則があります。
“ain’t”
be動詞+not. Be動詞はis, am, areに関わらずこの形で利用されることがある。アメリカのxxx州の一般的な訛りを表す。
“’em”
“them” の略語としてよく用いられる。”them”としっかりthを発音しない訛り、話し方を表している。
“She’d’ve”
ダブル短縮形。日常会話の中で使われる。
“’n’”
“Fish ‘n Chips”など、andを使わずに’nで洗わす。読み方は”Fishan Chips” となる。



このような書き方をするのは何故でしょうか?考えられるのは、この地域が訛りの強い田舎であること、兄妹が教育を受けていなく正しい英語の発音をしていないことを強調するためと思われます。スコットランドの若い薬物中毒者を描いた有名な映画「Trainspotting」をご存じでしょうか?その本では、このような短縮形とスペルミスを巧みに使うことにより、話し手のスコットランド訛りとラフな性格が表している、素晴らしい作品です。
まとめ
短縮形は ①カジュアルなので使うシーンを選ぶもの、②使った方が自然なもの、③会話口調に近いもの、の3パターンがあることが分かりました。③については、文字で見て慣れていくと映画やドラマのセリフがより理解できるようになるでしょう。
ネイティブに近い英語を話すことを目標とする方は、短縮形も使いこなすことができると目標に一歩近づくことができそうです。
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短縮形を使ってはいけないという規則はありませんが、企業のPR、広告記事や、政府の発行する文書など、フォーマルな文書では使われないことが多いです。これは、アメリカもイギリスも一緒です。