商談時の英語(売り手編)〜訪問先で相手の懐に入る英語術 ~

商談時の英語(売り手編)〜訪問先で相手の懐に入る英語術 ~

展示会で獲得したリードにスピーディなアプローチを行うことで商談の機会を設け、新規の顧客や販路の確保につなげることも期待できます。商談の準備とプロセスをおさらいしながら、どんな英語が必要になるのか、今のうちからシミュレーションをしておきましょう。

展示会で必要な「呼び込みスキル」、英語だとこんなに簡単!
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いざ商談、取引先と英語で交渉するステップ

展示会では、リード獲得数は来場者の5~10%程度、そして商談化できるのはそのうちの1~5%程度と言われています。つまり、30,000名が来場する展示会の場合、リード獲得数は多くて約3,000、商談化率は150件程度になります。(展示会リードからの商談を増やす10の施策 | メソッド | 才流 (sairu.co.jp)

STEP 1 商談の事前準備

商談に入る前に、訪問先の企業情報収集する時に役立つ英語は次のリストです。企業のHPに記載されていない情報も、ウェブサーチで「会社名」「取得したい情報」を検索することでビジネスダイレクトリーなどから取得することができます。

日本語英語
代表者氏名The owner of the business 
設立年(The year ) founded 
本社所在地(Address of) headquarters
従業員数No. of employees
資本金Total assets 
主な事業内容Industry
拠点数No. of branches
組織図Organogram 
主要取引先Major clients/partners 
グループ会社、関連会社Group companies

このように準備をしておけば、実際の商談では見つからなかった情報のみにフォーカスして掘り下げていくことができますね!

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STEP 2 商談本番!

商談当日の英会話について、会話の手順と併せて解説していきます。

アイスブレイク

まずは挨拶や雑談で「アイスブレイク」。「氷を砕く」ように、緊張した雰囲気から一歩相手の懐に入り込むことが目的です。本題に入る前に、雰囲気を和らげお互いにコミュニケーションが取りやすい雰囲気を築きましょう。

挨拶では
I’m so glad to see you again.
It’s wonderful to see you again.
(またお会いできて嬉しいです。)
などと、もう一度その人に会えた事を喜ぶ気持ちを伝えられるとベストです。

事前に、その人に前回会った時は何を話したか、その日の展示会のイベントではどんな事があったか…など、共通の話題を考えておくと、緊張せずに会話がスムーズに流れます。こういった会話をするためにも、リード獲得から商談までのリードタイムは短くしたいですね!

アイスブレイクで使える英会話例

How did you enjoy the rest of the exhibition?
(あれからの展示会はどう過ごされていましたか?)

You went to see the opera after we met. How was it?
(前回お会いした時は、その後にオペラを観に行ったんですよね。いかがでしたか?)

Thank you for your advice for the deco of our booth! It made it much visible.
(先日は私たちのブースにアドバイスをいただいてありがとうございました。お陰でもっと目立つようになりました。)

北澤のじ

上記の日本語と英語が合っていない?とお思いの方へ一言。私は自分の英語の経験からそのシーンでどんな英語が使われるか、と考えます。例えば”Did you enjoy the exhibition?”を直訳すると「展示会は楽しみましたか?」ですが、ビジネスの場面で「楽しんだ」というのは日本語では不自然ですよね。でも英語では一般的なんです。そういった理由から、英語でも日本語でもそのシーンで使われて不自然でない、同等のニュアンスになる文章を選んでいます。

自己紹介

相手に会うのが初めての場合は、いつも使っている簡単な自己紹介をしましょう。それに加えて、相手が興味のありそうな自分の経歴や趣味などを紹介するのも「懐に入る」チャンスを作ります。

ヒアリング

商談へのリードがあるということは、先方はあなたの会社について下調べをしているはず。なので、会社のセールスピッチはほどほどに、こう聞いてみましょう。

ヒアリング時に使える英会話例

I believe you have a good idea about who we are. So I would like to ask your questions.
(もう当社のことについてはご存知かと思いますので、御社から質問をいただければと思います。)

So, how can I help you today? I would like to hear more about your needs.
(今日はどのようにお役に立てますか?今日はニーズについてもっと聞かせてください。)

セールスで売るコツは喋ることではなく喋らせること、と言います。商談で大事なのはスピーキングのスキルではなく、リスニングのスキルです!

クロージング

話をたっぷり聞いて自社から何を提供できるか…それを話す際にはBANTに基づいて整理していきましょう。

BANTとは、Budget(予算)・Authority(決裁権)・Needs(必要性)・Timeframe(導入時期)の略で、営業時のヒアリングに必須の項目4つを指します。

カテゴリー概要質問の例
Budget (予算)製品・サービスを導入するための予算の金額のこと。予算と検討製品の価格が大きく異なる場合、製品を購入しない可能性が高いため、できるだけ早い段階で確認する必要があります。これ以上費用がかかる場合は検討が難しい、という予算の上限額の目安があれば教えていただけますか?
Authority (承認)決裁権を持つ人物のこと。商談を行う相手が、自社での導入を承認する立場にない場合、営業リードタイムが長引く可能性があります。御社の意思決定プロセスはどのようなものですか?
次回お打ち合わせの際に、◯◯様(決済者)にもご同席いただくことは可能でしょうか?
Needs (ニーズ)顧客のニーズのこと。どのような課題を抱えていて、製品・サービスの導入でどのように解決したいのかを正確に把握する必要があります。現在はどのように◯◯を行っていますか?
〇〇を行う際に感じている課題感があればぜひ伺いたいです。
Timing (スケジュール)製品・サービスの導入時期のこと。数週間から1ヶ月以内など、直近の導入を予定しているリードもいれば、導入時期が未定のリードも。導入時期を正確に把握することで、リード対応の優先度を適切に設定できます。いつ頃までには運用を開始したい、という目安はありますか? そこから逆算して、今後のスケジュールについてご提案に含めさせていただきます。
現在利用中の他サービスはありますか?(ある場合)契約終了時期はいつ頃でしょうか?
引用:Zoho CRM「「BANT」とは?営業が絶対知っておくべきヒアリング手法」(2024年5月27日)

上記の質問内容には聞きにくい質問も含まれており、直接的ではなくひねった言い方をしています。あまり直接的に聞きたくない項目には「戦略的英語」の例を作りましたので、違いを比較してみてください。

日本語シンプル英語戦略的英語
1-1費用の限度の目安は?What’s your maximum budget? What are you looking at in terms of budget?
2-1意思決定プロセスは?What’s the process for decision making? What is your authorisation procedure?
2-2次回の打ち合わせでOOさんも同席できるか?Can Mr(s). OO join the next meeting? Is it feasible for Mr(s). OO to attend the next meeting? 
3-1どのように〇〇を行っているか?How do you go about OO? Do you mind if I ask about… Do you mind me asking…  Would you mind if I asked?  Could you tell me…  May I ask you…  I’d like to find out… 
3-2どんな課題感があるか?What’s your challenge?
4-1開始の目安は?When do you plan to implement? 
4-2そこから逆算しますWe will create the schedule backwards. 
4-3現在利用中のサービスの契約満了は?When does the current contract end?

3-1以降の戦略的英語にある文章を、聞きたいことの前に付けるだけで印象が随分変わります。
What are your challenges? よりもI’d like to find out what your challenges are. とワンクッション置いた質問の仕方を心掛けましょう。

こういったセンシティブな内容を聞くためには、高い英語力または実践慣れした通訳が必要ですね。交渉の鍵ともなる部分ですので、このポイントでうまい通訳をできる人が理想的です。
商談の後にメールを送り、話した内容をまとめるのも忘れずに!

北澤のじ

商談を一日に何件もこなさなければいけない場合には、会話を録音させてもらい、必要な場合に会話を振り返ることができると良いですね。その場合はDo you mind if I record this meeting for me to make sure I understand your requirements correctly? (お客様のご要望を正しく理解できていることを確認するために、この会議を録音させていただいてもよろしいでしょうか?)と録音する理由を添えて確認しましょう。

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まとめ

商談で相手の懐に入るには、フレンドリーな話術で相手をリラックスさせ、丁寧な言葉で聞きにくい情報をヒアリングすること、と言えます。日本語のコミュニケーションに比べて、英語ではお互いの距離が近いのでフランクに世間話をしてみましょう。しかしビジネスに関することは言葉を選んで慎重なヒアリングをすることができれば、良い印象を与えて商談が成立する確率を上げることができるでしょう。次回は、買い手に必要な商談時の英語をご紹介します。

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北澤のじ
歴史と文化と自由に興味を持ち、ヨガとキャンプとお酒を愛するDigital Nomad。通年20年、50か国以上での海外経験があり、南アフリカの市場調査、フリーランス通訳、英語塾経営を通して日本企業の海外進出、日本のグローバル化を応援しています。 通訳としては、社内通訳7年、フリーランス通訳8年の経験があります。20代にバックパッカーで世界を旅行していたら英語脳が作られ、大企業で同時通訳をさせてもらえるようになりました。アフリカ英語塾の塾長としてアフリカの講師と一緒に英語を教え、誰でも英語が喋れるようになることを伝えています。