「主語なしの英語?」SNS時代が生んだ新しい文法

「主語なしの英語?」SNS時代が生んだ新しい文法

日本の英語の授業で習う「SVO=主語、述語、目的語」は英語のゴールデンルール。文章にはどんな時も主語が入る、と学校で習いました。しかし最近では英語の主語を使わない流行が一般化しつつあり、主語のない英語文章が成り立つようになりました。いつ、主語を飛ばしていいの?主語がなくても理解できるの?この記事では、そんな「生きた英語」についての解説です。

意外に大事な “How are you?”コミュニケーション

「英語=主語から始まる」ルールが変わり始めている?

英語と言えばSVO、「主語(S)+動詞(V)」から始まるものだと学校でしっかりと教えられました。でも最近はSNSやチャットアプリで主語を省いた文章が使われていることに気がついた方も多いのでは。最初は「間違っているのでは?」と疑った方も、今は「自然な表現スタイル」として広く使われていることにお気づきになったかもしれません。
「主語なし英語」がどのように利用されているのか、文化的背景を紐解いてみましょう。

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まずは前提。英語の文法、日本とここが違う!

基本的に英語の会話では、主語がどんなに明らかだったとしても、必ず明確にします。日本語と比較してみましょう。

下記の例のように英語では、2人で会話をしている場合に「私」「あなた」という単語が使われます (1、2、5番目)。また、4番目のような単純な文章でも「wrong」ではなく「It’s wrong」と主語、述語(動詞)をつけて話すのが一般的です。

日本語英語英語らしい日本語
開けていい?Can I open it? 私はこれを開けてもいい?
これ欲しい?Do you want this? あなたはこれが欲しい?
上司から頼まれました。I was requested by my manager. 私は上司から頼まれました。
違う。It’s wrong. それは違うよ。
お腹すいた。I’m hungry.私はお腹がすいた。
日本語と英語の表現比較
北澤のじ

日本語を学ぶ外国人が悩む、一番のポイントは「日本語には主語がない」ということだそうです。慣れるまでは「誰のことを言っているの?」と混乱することが多いとか。さらに5番目にある「お腹すいた」のような文章では、「今のは質問なの?それとも肯定なの?」と迷ってしまうそうです。そう言われてみれば、話し言葉の日本語は疑問形を使わず「お腹空いた?」とイントネーションを変えるだけなので、聞きなれていなければ見逃してしまうようです。「主語をいつも入れないといけないなんて、英語は難しい」と思ってしまいがちですが、この場合は日本語の方が習得するのが難しそうですね!

ショートメッセージの流行は、主語を付けない!

そんな言語の差がある中、最近は英語でも「主語を使わない」場合がよく見られるようになりました。それも若い世代だけでなく50代くらいまでの広い年齢層で利用されています。

主語を使わない英語使用例

“Was wondering if you wanna join me. “
一緒に行かないかなぁ、って思ってたんだ。
(最初に入るべき”I”を省略。)

“Wanna join me?”
参加したい?
(最初に入るべき”You”を省略。)

どちらも、日本語の訳とほぼ似た文章構成になります。
SNSでメッセージをする場合に限らず、フォーマルな場合でも使われるのでしょうか?話し言葉では、どうでしょうか?

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いつ、主語を省略できるのか?

日本語では、SNSだけでなくビジネスEメールなどのフォーマルな場面でも主語を省く場面が見られます。英語では、フォーマルな文章で主語が省かれるのは見たことがありません。大抵はIやYouの主語がなくても意味は汲みとれるものの、「カジュアルとフォーマルを混同する人」と見られ、良い印象を持たれないことが予想されます。

書き言葉でも主語を省略するのはWhatsApp、X、InstagramなどのSNSだけ。

話し言葉では、主語を省略すると「聞き落したのかな?」と不思議に思われるでしょう。SNSで読み慣れているものの、不自然な感じがしてつい聞き返してしまうかもしれません。

その一方で、「わかったよ」という意味のI got it. などはGot it.とIを省略するケースがあります。しかし、これは流行と言うよりは米国スラングという印象です。使うのであれば、この例のように短い文章で、使われているのを聞いたことがある文章だけに限定すると良いでしょう。

話し言葉では基本的に主語を省略しない。

どうしてこの流行が生まれたのか?もちろん明確なことはわかりませんが、この流行はSNS、インターネットの発展と共に一般化したようです。

2000年以前:SVO文法は絶対
2000年~2007年:携帯メッセージの普及、文字数160字制限
2008年~2012年:スマートフォンとTwitterの普及、文字数140次制限
2013年~2018年:WhatsApp、Facebookで主語なしが日常化
2019年~:テンポよく、時短。Z世代のスタンダードに。

文字数の制限、それからスマートフォンでのメッセージの頻度の増加に伴って省略文化が進んだようです。主語の省略ほど一般的ではありませんが、動詞を省略するケース、また主語と動詞を省略するケースもあります。

動詞/主語と動詞を省略するケース

Are you coming? → You coming?
I’m so tired. →So tired.
I’m running late. → Running late.

まとめ

省略の英語のように、これまでは普通だったことが、普通じゃなくなることがよくあります。今はすっかり一般的になった絵文字ですが、今では友人へのメッセージに絵文字を使わないと「冷たい印象になるのでは」と気にするようにさえなりました。

英語に見られる主語/動詞の省略も、テンポを良くする、硬いイメージをなくす、という意識があり、ただ文字を打つのが面倒だから、という理由以外の目的ができているようです。正解はありませんが。これを利用するかしないか、それを自分の周りの状況を判断しながら自分で考えて決めることが大事だと思います。

このように言語に流行が生まれ、その流行が一般化されるという現象を見ると、言語は生きている、ということを実感します。生きた言語を自分らしく使い、外国語を話している時も自分のスタンスを曲げないようにアンテナを高く張っておきたいものですね。

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北澤のじ
歴史と文化と自由に興味を持ち、ヨガとキャンプとお酒を愛するDigital Nomad。通年20年、50か国以上での海外経験があり、南アフリカの市場調査、フリーランス通訳、英語塾経営を通して日本企業の海外進出、日本のグローバル化を応援しています。 通訳としては、社内通訳7年、フリーランス通訳8年の経験があります。20代にバックパッカーで世界を旅行していたら英語脳が作られ、大企業で同時通訳をさせてもらえるようになりました。アフリカ英語塾の塾長としてアフリカの講師と一緒に英語を教え、誰でも英語が喋れるようになることを伝えています。