ビジネスシーンの英文メールの書き方は?英語メール定型文~書き出し編~

顔が見えないメールでのやり取りは、誤字脱字や相手の名前の漢字やスペルを間違えるだけで、ネガティブな印象を与えてしまうものです。日本語では使い慣れた定型文があり、考えなくても丁寧なメールを書くことができる方も、英語では何が正しいのか? 失礼に当たらないか? と考えて、パソコンのキーボードを打つ指が止まってしまう方も多いのではないでしょうか。

北澤のじ

何が正しいのかは、その書き手の文化や環境、また世代によっても様々ですが、丁寧に、心を込めたメールで相手に良い印象を与えたいものです。シーンと相手に合わせた、「失敗しないメールの書き方~書き出し編~」をご紹介致します。

正解はない。だからこそ誤解のない表現を。

Hi Tanya,」で書き出したメールに対して、怒鳴られている同僚をいつも思い出します。怒鳴っていたのは彼の上司である南アフリカ人の女性。その同僚は「Hiでメールを始めるなんて、私のこと友達だと思ってるの?」と怒られていました。そうかと思えば、私がサブスクしているアメリカの会社のカスタマーサービスからのメールは「Hi」で始まっていたりします。でも私はこの経験から、メールを送る相手に間違った印象を与えないように、ある意味トラウマに、いい意味ではメールの書き方に敏感になりました。

北澤のじ

世界で広く使われている英語の「丁寧さ」「適切さ」は業界によっても文化によっても違いますし、個人的な好みもあります。正解はありませんので、この記事では私の例をご紹介します。

本記事でフォーカスする部分

今回は日本語のメールにおける、【宛先】と【書き出し】を解説していきます(黄色ライン箇所)。

株式会社 XXXXXX
ジョン スミス 様

いつも大変お世話になっております。
オシエテのライターの、北澤のじです。
先日は打ち合わせにお時間を頂きまして、どうもありがとうございました。その後プロジェクトは順調でしょうか? 

次回の記事の提出日についてご連絡致します。
提出日は来週の火曜日でお願い致します。
もしも、来週火曜よりも前に提出する必要がありましたら、ご相談ください。

インフルエンザが流行っておりますので、どうぞお身体に気を付けてご活躍ください。
引き続き、よろしくお願い致します。

北澤のじ

メールの丁寧さは、何段階に分ける?

書き出しの4行について学ぶ前に、まずは「丁寧さ」、「TPO」にはどれくらいの段階を作るかを考えましょう。私は大体4段階、ビジネスシーンのEメールでは3段階に分類して考える癖がついています。

Level 0SNS、LINE、WhatsAppのショートメッセージ
Level 1同僚、レビューや書き込み
Level 2クライアント
Level 3政府機関など (ビザ申請などの公式書類)
メール(メッセージ)の丁寧さレベル

Level 0は、ショートメッセージを友人に送る場合です。友人同士でも、いきなり本文に入らずに「おはよう」、「おつかれさま」などの挨拶を入れることが多いのではないでしょうか。「Hi」は、そういった場面で使われるようです。ただ、Hiだけでは味気なく、場合によっては冷たくも感じます。なので “Hi John, how are you?” だったり、”How’s it going?”や “What’s up?” などの砕けた表現をする場合が多くあります。

では、会社の上司はどこに分類するのでしょうか? レベル1か2か、それは上司と自分の距離、上司の性格、同僚の上司へのメールの書き方などから分類を考えると良いでしょう。

以下の例からは、仕事のシーンにフォーカスしたLevel 1~3の場合についてご紹介します。

宛名はMr.か、名前を呼び捨てか、または…。

宛先については、日本の形式と同じように会社名と宛名を書くのが正しい形式です。しかし、日本に比べると会社名が書かれていることは稀で、宛名だけが”Dear Mr. Smith/ John”と記載されることが多いです。宛名もレベル分けをして考えると良いでしょう。

Level 1John
Level 2JohnまたはMr. Smith
Level 3Sir/Madam、または役職名とMr./Mrs.またはDr. 

業界の種類にもよりますが、出会ったことのないクライアントとのEメールのやり取りではMr. Smithと呼ぶと失敗しません。そして対面した時に“Please call me John”と言ってくれることが多いでしょう。

英語文化で厄介なのは “Dr.”の存在。これは医師に付けられる名称ではなく、PDF(博士号)を持つ人に付けられる名称です。

北澤のじ

私の親しい女性で、博士号を持つ友人がいます。彼女は電話の問い合わせや予約などで “Is it Ms. or Mrs.?” と聞かれた時に “Doctor.”と答えます。なので、そう直されることもあるかもしれません!

冒頭の挨拶、英文メールで適切なのは?

お世話になっております」英語で何て言う?

「お世話になっております」は「よろしくお願いします」と並んで代表的な日本語ならではの挨拶の一つ。直訳すると”Thank you for taking care of me”ですが、これを英語で言う場合は、病気で看病をしてくれている人などに言うお礼の言葉として使われることが一般的です。では、英語では冒頭の一文は何と書くのが一般的でしょうか?

Level 1Good morning John, how are you? 
Level 2Dear Mr. Smith, I hope you are well. 
Level 3Dear Sir/Madam, I hope this email finds you well. 

冒頭の挨拶① Good morning/afternoon

まずは、Good morning/afternoon。「おはようございます」「こんにちは」から始まるケースが意外に多くあります。これは社内メール、または毎日のようにやり取りをするクライアントとの間では特に一般的です。

冒頭の挨拶② I hope you are well

“I hope you are well.”は、日本語では「お元気でご活躍のことと存じます」と言ったところですよね。日本語で使われないことはありませんが、近年の傾向としてビジネスのシーンではこの挨拶は減少傾向にあるように感じます。I trust my email fidns you well.はフォーマルな定型文なので、覚えておくと良いでしょう。

シーン別 英語メールの挨拶バリエーション

シチュエーションによって、このような例もあります。これはどれも良く使われる一文なので、シーンに合わせて使い分けられると良いですね。

  • I Hope You’re Doing Well
  • It Was Great Seeing You At [Insert Place Name]
  • Congratulations On [Insert Recent Accomplishment]
  • Hope You Had a Great Weekend!
  • I Know You’re Busy, So I’ll Be Brief
  • [Mutual Contact] Mentioned That I Should Reach Out to You

番外編:新年・ホリデーシーズンに使える挨拶

また、新年にはこのような挨拶があります。
Compliments of the season.はクリスマス休暇の前頃から使うことができます。その時期は休暇を前に浮足立つ様子がメールにも表れるようで、このような挨拶がよく交わされるようになり、取引先の担当者と個人的なホリデーの予定などを話し合って、距離が近くなるという経験をしたことがあります。

Level 1Happy New Year. / A Happy New Year to you! 
Level 2Compliments of the season. 
Level 3I would like to offer my New Year’s greetings. 

毎回のEメールで自分の名前を言う必要はある?

最初のメール以外は、必要ありません。日本では毎回メールの度に会社名と名前を書くのに慣れている方も多いかと思いますが、どのレベルのメッセージでも2通目からは会社名と名前を書くと「この前もメールもらったけど?」と不思議に思われるでしょう。

では、最初のメールではどのように自己紹介をすると良いでしょうか? 私だったら“I’m Nozi Kitazawa from OCiETe. “ のように紹介します。これだけでOKです。この後に自分はライターで、どのような記事を書いており、何のためにこのメールを書いているか…と続けます。

書き出しの最後の文章は、心のこもった言葉を添える!

「心のこもった言葉」は、相手と自分の最後の会話を思い出すと良いでしょう。二人にしか分からない内容を書くことで、相手の事を考えている気持ちが伝わり、親近感が生まれます。この日本語のメールの例では、前回最後に会話をしたのは打ち合わせで、先方のプロジェクトについての話をしたという事が分かります。

北澤のじ

私が日本でやり取りする方は、このように親近感を出すためにメールを書く人が少ないように思います。私は英語のメールに慣れており、顔を合わせたことがない人でもやや個人的な話をすることが「礼儀正しい」と感じられることから、自分は一般的な日本のメールよりもこの「親近感」を大切にしているように思います。

まとめ

大きなポイントは、送り先によってレベルを分類し、自分なりの「温度差」をつけること。同僚や上司、クライアントへのメールでは、親しみを覚えてもらえるような心のこもったメールを心掛けることが大事かと思います。
これは、英語だけではなくて、日本語でも心がけたいものです。もちろん、馴れ馴れしい印象を持たれるとネガティブに捉えられますが、仕事相手とのメールのやり取りも自分の個性が現れる、誠実さと気遣いに溢れたメールを書けたら素敵だなと思います。

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北澤のじ
歴史と文化と自由に興味を持ち、ヨガとキャンプとお酒を愛するDigital Nomad。通年20年、50か国以上での海外経験があり、南アフリカの市場調査、フリーランス通訳、英語塾経営を通して日本企業の海外進出、日本のグローバル化を応援しています。 通訳としては、社内通訳7年、フリーランス通訳8年の経験があります。20代にバックパッカーで世界を旅行していたら英語脳が作られ、大企業で同時通訳をさせてもらえるようになりました。アフリカ英語塾の塾長としてアフリカの講師と一緒に英語を教え、誰でも英語が喋れるようになることを伝えています。