外国の方とのコミュニケーション「タブーの嘘・ホント」失礼にならない英語表現

外国の方とのコミュニケーション「タブーの嘘・ホント」失礼にならない英語表現

人の意見を聞きながら自分の意見を話し、お互いが新しい見解を学びポジティブで意義のある機会にすることは楽しいものです。宗教や政治について、その国に住む人からの話を聞くと、メディアだけで情報を集めるよりも広い視野で物事を捉えられるようになります。海外で私が身に付けた「異文化交流の際の教訓」と使える英語フレーズを、「タブーの嘘・ホント」を検証しながら皆さんと共有致します。

フランス人は英語嫌いってホント?パリオリンピック実体験レポート
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海外の人との交流する時気をつけるべきこと

「宗教と政治の話はしない方が良い」というのは、どちらかと言うと海外よりも日本の方が当てはまるように思います。「日本人は自分の意見を持っていない」という外国からの批判の声は、みなさんも聞いたことがあるのではないでしょうか。「社会問題について考える癖がない」、「意見はあるけど対立を恐れて言わない」、というケースも当てはまるのではないかと思います。

海外の人との交流、特に英語文化に生きる人たちとの交流では自分の意見を持つことを求められます。自分の意見を言う事、疑問に思うことを質問することは、誠実に自己表現をすることであり、その場と時間を共有する参加者全員の責任とも言えます。今回の記事は、そういった場所でみなさんが自信を持って異文化の人々と楽しい会話意見交換をできるようになるための心得と英語表現をご紹介します。

宗教の話はタブー?

私から「あなたは神を信じますか」と質問はしませんが、宗教心の強い人は自分の宗教の話を進んで話す人が多いので、宗教のことはよく話題に上がります。相手が宗教について話し始めたら、宗教の話題はOK!というサイン。質問をすることは彼らの信心に純粋に興味がある、ということで喜ばれます。

逆に、「日本人だから、あなたは仏教徒なんでしょ?」と聞かれることは頻繁にあります。しかし、この聞き方はステレオタイプなので“タブー”と思っています。「日本人=仏教」、「女性=パートナーは男性」、「40代女性=夫と子供がいる」というような決めつけは、偏見です。多様性が重視される今の世の中では避けるべき発言でしょう。

仮に私が、「日本人だから仏教なんだろう」という事を本当に聞きたいとしたら、こういう聞き方をします。

I heard that Japanese culture is aligned with Buddhism philosophy. Do you feel in that way?
(日本文化は仏教思想に沿っていると聞いたことがあります。そう思いますか?)

Do many people practice Buddhism in daily life in Japan?
(日本では多くの人が日々の生活で仏教の教えを守りますか?)

In my country, most people go to the church on Sundays. Do you have that kind of custom?
(私の国ではほとんどの人が日曜日に教会に行きます。そういう習慣は日本にはありますか?)

相手本人に直接聞くのではなく、周りを崩すように聞いてみましょう。その話題がOKだったら、自分のことを話してくれるはずです。

  • 一般論で、相手もそれに属すると決めつけないこと。
  • 先に自己開示をして、相手に質問をすること。

家族のことを聞くのは、プライバシーの侵害?

日本でもそうですが、「結婚しているか」「恋人がいるか」という質問は避けた方が良いでしょう。「子供がいるか、いないか」という質問も共通項を探すための質問として良く使われますが、個人的には避けた方が良いと思っています。聞いた相手が恋人と別れたばかりかもしれないし、子供ができない問題を抱えたカップルかもしれません。そう考えると「ご両親は健在ですか?」「ご両親はどんなお仕事を?」という質問も聞かれて気持ちが良い人が100%とは限らないので、避けた方が無難でしょう。

じゃあ、家族の話は絶対してはいけない?いいえ、そうではありません。質問は避けた方が無難ですが。自分の事を話すのは問題ありません。会話で質問をする理由は、共通項を探すことが目的ですよね。それなら、こちらから情報を開示して会話を始めましょう。相手に響く共通項があるなら話に乗ってくるし、そうでなければ話に花は咲かないでしょう。そうしたら、次の会話を探すまでです。

年齢は聞いてもいいの?

年齢は聞くべきではないと一般的に言われており、みなさんもそう認識されているのではないでしょうか。しかし実情は、日本人はびっくりするくらい年齢を聞きます。私が海外の友人と日本を旅行していると、友人が男性であれ女性であれ、とにかく年を聞かれています。「何で日本人は年齢を聞きたがるの?」と混乱する友人。日本人同士では、年上には敬語を使わなくてはいけないという意識があるからなのでしょうか?確かに、年下だと分かった途端に態度が傲慢になる人も中にはいますが…。会話の流れで自然に聞くことはあっても、基本的には年齢は聞くのはおかしな事です。

  • 年齢は経験から予測する、実年齢を知る意味はない。
  • 年上でも年下でも関係なく同じ敬意を払う
  • 年齢関係なく、心を開いてフレンドリーでいることを心掛ける。
北澤のじ

上記の教訓を実施することは、年齢の縦社会で育った日本人の私たちには難しいかもしれません。でも幼いころから大人と対等に話す習慣のある文化を見ると、これは早期に人格形成をする大切な要素だと思えます。

女性を褒めるのは良い?悪い?

日本人は容姿を褒めることが多いという印象を受けます。初めて会った人に可愛い、綺麗、カッコいい、という褒め言葉を投げかけることにはシャイでないようです。裏を返すと、日本人は容姿で評価をする傾向が強いと感じます。

先日、日本人の顧客に外国人ドライバーを紹介した際、一言目に「うわぁ、イケメンだぁ。You are so cool ね」と発言され、私も腰が抜けるほどびっくりしました。女性同士、交友関係の中でこういった褒め方をする場合はありますが…。同性でも異性でも、初めて会った人の容姿に対してオーバーリアクションするのは気まずいというか、変な感じがします。

英語文化の褒め上手をお手本にしましょう。元々持っている容姿端麗さではなく、その人の良い所を見つけて褒めるのです。お洒落をしていたら褒める、良い色のシャツだと褒める、ヘアカットしてすっきりしたと褒めるなど、そういった褒め言葉に愛情表現と優しさ、気遣いを感じます。褒めることも、Conversation Starterだということを意識しましょう。

こういった褒め言葉は、良い雰囲気で会話を始めるきっかけになります。

I really like the colour of your shirt! It’s so summary.
(そのシャツの色がすごく良いですね。夏らしい!)

Your earrings are so unique! Where are they from?
(あなたのイヤリングはユニークですね。どこのものですか?)

  • 容姿、服装に対してオーバーリアクションをしない。
  • 容姿の端麗さ以外で素敵だと思うことを見つけて褒める。

政治の話は、避けた方がいい?

世の中に対して自分の意見を持つこと、どうしたら世の中が良くなるかを話し合うことは、リアルで学びの多いもの。私個人としては、異文化交流の醍醐味はここにあります。ヨーロッパでよく質問するのは、「移民の受け入れについて」、「コロナ禍での生活、人々のリアクション、政府の対応」、「ロシアのウクライナ侵略によって市民と経済が受ける影響」、「株と投資について」、「退職金、健康保険の制度」などについて、その人の体験と意見を聞きます。そうすることで、ニュースの報道だけでない視野を手に入れることができ、自分の考えを確立するのに役立ちます。

その内容について自分の意見を話すことは、開示してくれた感謝を表す誠意だと思っています。自分はこう思っていたけど、あなたの考えを聞いてこう変わった。こういう事実があるとは知らなかった、という前向きな聞き方をし、誰かを批判するのではなく、ポジティブな結論で話が終わるように努力をします。

そういった質問は、こんなフレーズから始めることがあります。

Please excuse my ignorance but…
(無知で申し訳ないのですが…)

I’m sorry to ask you a stupid question, but…
(馬鹿な質問をして申しわけないのですが…)

If you don’t mind me asking, I always wondered about this thing…
(いつも気になっていることがあって、差し支えなければお聞きしたいのですが…)

I only know what the news tells me.
(私はニュースの情報しか知らないので。)

I’m no expert on this but I’d like to share my humble opinion on this.
(私は専門家ではありませんが、意見を共有したいと思います。)

北澤のじ

日本語でもよく使う「枕詞」。英語でも効果があるので、是非使ってみてください。

  • 人の意見を否定しない。誰かを批判する終わり方をしない。
  • 自分の意見が正しいという態度で話さない。
  • 意見を共有してくれたことに感謝の気持ちを表す。
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まとめ

どんな話題をするのでも、謙虚さとリスペクトが大事。当たり前のことですが、自分の偏見には気が付かないものですし、自分の常識が世界の常識でないと気付くのも時間がかかるものです。

宗教、政治、歴史、人種については個々の経験もありますし、特別な注意を払って話さなくてはいけない繊細な会話です。私は無知、無学、無神経さから沢山の失敗と失言を繰り返しました。そういう場合に優しく説明してくれた相手に出会えたことを本当に幸運に思いますし、そういう会話を経たからこそ今の自分があると思えます。

そういった「本当の会話」を避けるのではなく、敬意を持ってそういった話をできる強さと繊細さを身に付け、より広い世界に住んで世の中を良くすることに貢献していきましょう。

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北澤のじ
歴史と文化と自由に興味を持ち、ヨガとキャンプとお酒を愛するDigital Nomad。通年20年、50か国以上での海外経験があり、南アフリカの市場調査、フリーランス通訳、英語塾経営を通して日本企業の海外進出、日本のグローバル化を応援しています。 通訳としては、社内通訳7年、フリーランス通訳8年の経験があります。20代にバックパッカーで世界を旅行していたら英語脳が作られ、大企業で同時通訳をさせてもらえるようになりました。アフリカ英語塾の塾長としてアフリカの講師と一緒に英語を教え、誰でも英語が喋れるようになることを伝えています。