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インドの近代化が進み、先進国としての地位を確立する過渡期であることを前回の記事でお伝えいたしました。しかし、その根底にあるインドの文化はその偏移を遂げた中でも色濃く残ると感じます。それは、私が今まで一緒に仕事をしたインディアン・ビジネスマンの考え方や特性がインド文化に根差したものだったことが、よく見えるようになったからです。この記事では、インド人の同僚と仕事をする際に考慮すべき重要なポイントを、日本のビジネス読者向けにまとめました。

インド人の「ステレオタイプ・コミュニケーション」10箇条
ソフトウェア開発などのITセクターの方は特にインドのエンジニアとリモートで会議をしたり、一緒のオフィスで働いたりする機会があるのではないでしょうか。私は外部の通訳としての立場で、ITセクターとオートモーティブの産業エンジニア、プロジェクトマネージャーの方と関る機会が多くあります。
また、アメリカやカナダで活躍するビジネスマンの方は、その国で生まれ育ったインド人も多く付き合うことがあるのではないでしょうか。例えインドで育っていなくて、文化を受け継いでいる場合があるかも?インド人同僚について考えながら、次の10箇条を読んでみてください。

1. イエスでもノーでもない答えがある
インド人は、特にデリケートな問題を議論するときには、直接的な対立や率直な態度を避ける傾向があります。意見を求められても「お茶を濁す」、「中立を測る」処世術は日本文化と共通する所があるかもしれません。
2. あなたの知らないボディランゲージがある
これはインドで育ったインド人に限定されがちですが、首をゆらゆらと動かすジェスチャーがあります。完全に同意はしていないけど、あなたがそうしたい意図は分かった、という非常に曖昧なジェスチャー。頷く、首を横に振る、というジェスチャーも明確なイエス、ノーではない場合があります。
3. 価値観ピラミッドのトップは家族である
価値観のピラミッドで一番上にあるのは家族。そうでない、仕事だと答える人は信用されないと言っても良いでしょう。家族の弔いごとや病気で国に帰ることは勿論、家族の行事ごとを優先する場合が大いにあります
4. ライスよりライフが大事である
仕事には真面目ですが、インド人は私生活を重視しており、個人的なニーズを主張すると感じるシーンがあるかもしれません。柔軟な勤務時間や突然の休み希望などには理由を十分に聞き、代替え案や妥協案を話し合う覚悟をしておきましょう。
5. アジア人のまじめ気質がある
締め切りや会議時間に関しては日本よりもリラックスしている傾向にあります。しかし厳しいスケジュールでも達成に向けて過酷な労働ができるところは、欧米人の働き方と異なっています。変更、直前の決定があっても不平を言わず、上からの指示通りに実行するアジア人気質は日本人としては働きやすい部分です。

6. 階層や多様性を超えたチームワークがある
階層構造、役割分担に対して明確な共通認識があり、それを理解した上でチームで働くことが得意です。文化的、言語的、宗教的に多様性に基づいた「棲み分け」が生じることは一般的です。しかし、目的に対して一丸となる力は一般的に高いようです。
7. 英語には訛りがある。
ビジネスでは英語が広く話されていますが、「通訳泣かせ」と言われるインド特有の訛りがあります。特徴としては、句読点や抑揚なく「一本調子」で長い文章を早く喋るイメージです。あまりにも聞きなれないアクセントなので、最初の頃は茫然として全く聞き取れないことも考えられます。これは、勿論慣れてくるので心配はいりません。
8. 社会でもビジネスでも、年齢は重要視される。
インド人は日本や韓国など、他のアジア諸国と同じく、年上を敬う文化があります。ビジネスでは、年功序列に似た文化が存在します。階層構造は存在しますが、コラボレーションが重視されることがよくあります。組織の複数のレベルで協議が必要になるため、意思決定に時間がかかる場合があります。最終決定は上級リーダーが下すことが一般的です。
9. 地位と肩書きは若くても重要視される
権威、経験、専門性を尊重します。権力のある立場の人の意見を尊重する傾向にありますが、専門家であれば若くても意見が尊重されます。しかしその場合は、肩書や地位が重要視される傾向にあります。
10. ジェンダー多様性はあまり重要視されない?
インドは世界的に見て女性の労働参加率が最も低い国の一つではありますが、2023年の女性就労率は 32.67%(Statista調べ)と、過去10年間で10%上昇しています。家庭の仕事や子育ては女性の仕事という保守的な社会構造を重要視する文化的要素が変化しつつあります。この変化はインドの経済成長にダイレクトな影響する要因です。


まとめ
インドのビジネスマンと仕事をする場合、「文化を理解した上で相手に敬意を払う」ためとものポイントをおさらい頂けたかと思います。また、この記事の情報をもとに「自分をどのようにアピールし」、「自分の価値も理解させ」、「相互理解と尊重をもとに一緒に働く」ヒントになれれば幸いです。コミュニケーションは二方通行。理解すること、理解してもらうことを目指して話し合いをすすめましょう。きっとお互いから学び合える良い関係を構築できるはずです。
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これらの傾向を「ステレオタイプ」と呼ぶ理由の一つに、所得による貧富の差、宗教や文化の違い、先進的か保守的か、の違いが多くインド国内でも「何が普通なのか」という基準を作りにくいからです。私がインドにいる短い間で、ムンバイに住んで建築を勉強する20代の女性にも出会いましたし、14歳でお見合い結婚をしてすぐに子供を産み、道端で物売りをしながら4人の子供を育てる30代の女性にも出会いました。この二人の女性のコントラストはインド旅行で一番心に残ったことの一つでした。