目次
マーケティングやセールスのためのセミナー、または海外の関連会社にブランド・アイデンティティや製品についてトレーニングするセミナーを英語で開催する機会が増えてきます。英語のセミナーでは、どんなことに気を付けて準備をするかを学びましょう。
セミナーのために通訳が必要な方には、ブリーフィングのポイントやスキルチェックの参考としても役立てていただけます。
セミナーを英語で開催する方法〜準備編〜
セミナーのために通訳が必要な方は、準備段階から翻訳を依頼するとセミナー当日に高いパフォーマンスが期待できます。
日本では司会者とプレゼンターでセミナーが進められ、参加者はビデオも音声もオフということが多いですが、英語話者は一般的にインタラクティブな質疑応答、他の参加者との交流を好みます。この点に注意して、セミナーの準備を進めましょう。
アジェンダの作成
まずはアジェンダを完成させ、セミナーの骨組みを作りましょう。この過程は日本語で作成しても構いません。アジェンダが完成すれば、必要となる資料や英語のフレーズも自ずとわかるはずです。
以下は、ブランド アイデンティティ、製品機能、市場ポジショニング、販売戦略などのセッションを含むセミナーのアジェンダに含まれる一般的な内容です。
- Welcome and Introduction 歓迎の言葉と紹介
- Opening Remarks by [Speaker/Host] 開会の言葉
- Overview of the Seminar Objectives セミナーの目的
- Housekeeping Announcements セミナー参加中のルール(ゴミやトイレ、公共施設の利用)
- Keynote Address on [Topic] 特定のトピックに対するゲストのトーク
- Presentation: [Title] by [Speaker] ゲストのプレゼンテーションの名前とゲストの名前
- Panel Discussion: [Topic], featuring [Panelists] トピックと討議に参加するゲストの名前
- Workshop: [Topic], facilitated by [Facilitator] ワークショップの名前と司会進行者の紹介
- Coffee Break ティータイム
- Networking Session ネットワーキング(自己紹介と自由時間)
- Lunch Break (if applicable) ランチタイム
- Q&A Session with [Speaker/Panelists] 質疑応答
- Group Discussion on [Topic] 特定のトピックに対するグループ・ディスカッション
- Summary and Key Takeaways まとめ(各自実践して欲しいこと)
- Closing Remarks by [Speaker/Host] 終わりの挨拶
- Thank You and Acknowledgments お礼の言葉
- Next Steps and Future Events Announcement (if applicable) 次のステップ、次回のイベント
ネットワーキングの機会を考慮することを忘れないように!ネットワーキング セッション、コーヒー ブレイク、社交イベントで出席者間の交流を促進し、関係を育みます。こういった繋がりができることで「セミナーに参加して良かった」と感じる満足度を上げることができます。
資料作りのコツ
日本のプレゼン資料と海外のものを比べて、何か気が付いたことはありませんか?日本の資料は一般的に、ぎっしりと文字が書かれた「読むための資料」です。それに対して海外のもの(英語文化)はグラフや表、写真などがメインで、文字が少なくスッキリしているので視覚的に理解することができます。
資料は「ビジュアル重視」、「文字は少なめ」、「見やすいデザイン、色使い」を心がけましょう。流行を意識するとよりエンゲージメントが期待できます。
「こういう場合はどうしますか?」、「これについてどう思いますか?」など、参加者に質問しながら進めていけるようなデザインをすると効果的です。
評価メカニズムを作成
アンケートやフィードバックフォームなどの準備し、参加者にセミナーの評価をしてもらいましょう。意見を聞いてセミナーの効果を測定し、改善に繋げることができます。更に、不満のある参加者が意見を言える場所を提供する機会として重要です。
評価スケール
評価は多くの場合、評価は4~5段階に分かれています。全ての質問に対して評価基準を示すこともできますが、感覚的に全体を4段階で評価してもらうこともできます。5段階評価では、この下に Very poor (とても悪い)が入ります。
4-Excellent とても良い
3-Good 良い
2-Fair 普通
1-Poor 悪い
また、良し悪しで評価できない場合には、こちらの評価スケールを使うことができます。
5-Strongly Agree 強く賛成する
4-Agree 賛成する
3- Neutral どちらでもない
2-Disagree 賛成しない
1-Strongly Disagree 全く賛成しない
意見を聞きたい場合は、Other (specify)と記載します。これは、評価スケール以外で特に言いたいことがある場合に書き込みをしてもらうことが目的です。Specifyは「特記してください」という意味になるので、Otherを選択した回答者はこれを選択した理由を書きます。
Google Formのようなソフトウェアを使って作成すると、参加者が答えやすい上に集計やグラフ化もできるので便利です。Othersを選ぶ場合には理由を記載しなければ先に進めない、というような制約もできるので、アンケート用紙を使うよりも効果的で効率の良い評価を取得できます。
質問事項
日本での評価アンケートと同じように、質問の始めはセミナー全体の評価、会場、資料など一般的な質問から始めます。その後徐々に、ネガティブなフィードバックを取得できるように深堀していくと良いでしょう。
How would you rate your overall experience of the seminar?
セミナー全体の体験をどのように評価しますか?
Did the seminar meet your expectations?
セミナーは期待通りでしたか?
How relevant was the content to your needs and interests?
内容はあなたのニーズや関心に沿っていましたか?
How would you rate the material presented?
発表された資料をどう評価しますか?
Was the information presented clearly and understandably?
情報は明確で、容易に理解できましたか?
How would you rate the effectiveness of the presenters?
プレゼンターの発表は効果的でしたか?
How well did the presenters handle questions and discussions?
プレゼンターは質問や議論にどの程度対応していましたか?
How effective were the interactive elements (e.g., group discussions, activities)?
インタラクティブな要素(グループ・ディスカッション、アクティビティなど)は効果的でしたか?
Did you feel there were sufficient opportunities for participation and interaction?
参加や交流の機会は十分あったと感じましたか?
How well was the seminar organized?
セミナーはどの程度うまく構成されていましたか?
What did you like most about the seminar?
セミナーで最も気に入った点は何ですか?
What did you like least about the seminar?
セミナーで最も気に入らなかった点は何ですか?
Do you have any suggestions for improving future seminars?
今後のセミナーを改善するための提案はありますか?
Any additional comments or feedback?
その他のコメントやフィードバックはありますか?
ここでは一般的な質問をご紹介していますが、セミナーの内容に沿った更に深堀した質問を入れると更に改善に役立つヒントを得ることができるでしょう。
セミナーはプレゼンターの話を聞くだけではなく、参加者を巻き込んで盛り上げていくことが成功の秘訣ということをご理解いただけたでしょうか。自分の意見を話す機会、グループ・ディスカッションやアクティビティなど参加者同士が話し合える空間を創ることで参加者の満足度がアップします。続いて、セミナー当日に使える英語フレーズをご紹介致します。
セミナーを英語で開催する方法〜当日編〜
セミナー当日の流れと役立つ英語フレーズを、「司会進行」と「資料説明」の二つに分けてご紹介致します。参加者の心を掴んで楽しいセミナーを開催するイメージを固めていきましょう。
司会進行
まずはセミナーにて司会進行をする際に使用したい英語フレーズをセミナーの流れに沿ってご紹介していきます。
目的の定義 <Define Objectives>
セミナーの目標と目的を明確に設定。セッション終了までに参加者に学んでもらい、達成してもらいたいことを決定します。参加者には目的を伝えるには、このようなフレーズが使えます。セミナーの招待状を送るときから、目的については明確にしておきたいですね。
By the end of the seminar, participants will be able to…
このセミナーが終わるまでには、参加者は~ができるようになります。
Attendees should gain proficiency in…
参加者は~ができるようになる予定です。
Participants will understand the key factors influencing…
参加者は~に影響する要素を理解することができます。
This seminar aims to achieve a deeper insight into…
このセミナーでは、~についての理解を深めることを目的とします。
音声チェック <Testing Audio>
「聞こえますか?」というフレーズも色々な言い方があります。使いやすいものを選ぶ、または何度も聞かなくてはいけない場合のためにバリエーションを用意しておきましょう。
Can you all hear me clearly?
よく聞こえますか?
Before we begin, I want to do a quick audio check. Can you please type ‘yes’ in the chat if you can hear me?
はじめる前にオーディオチェックをしたいと思います。私の声がよく聞こえる方は “yes” とチャットに書いてもらえますか?
Am I audible to everyone? If not, please let me know.
みなさん、聞こえますか?もし聞こえなかったら教えてください。
講演者の招待 <Invite Speakers>
必要に応じて、ゲスト講演者や主題の専門家を招待し、ブランド アイデンティティや製品に関連する特定のトピックに関する洞察や見解を共有してもらうことで、より説得力がつきます。
Today, we are privileged to have with us [Guest Speaker’s Full Name], [Guest Speaker’s Title/Position].
本日は幸運にも、[役職]の[名前]にお越しいただいています。
※ゲストスピーカーのことを知らない人でも「こういう人が言うなら説得力がある」という紹介をします。
Ms. [Guest Speaker’s Last Name] is renowned in the field of [Field/Area of Expertise], with over [Number] years of experience.
Ms.[名前]は[~の分野]でXX年の経験があります
Her research on [Topic] has significantly contributed to advancements in [Field/Area], making her insights invaluable to our discussion today.
[トピック]に関する彼女の研究は[分野/領域]の進歩に大きく貢献しており、彼女の知識は今日の私たちの議論にとって非常に貴重なものです。
She has published numerous articles in prestigious journals and has been a keynote speaker at international conferences.
彼女は権威ある雑誌に多数の論文を発表し、国際会議で基調講演者を務めてきました。
ゲストがいることでセミナーの流れにメリハリがつきますし、討議もよりエキサイティングなものになります。研究者でなくても自社のCEOやマーケティング担当者などを招待してセミナーを盛り上げましょう。
資料説明
資料の説明中は参加者に質問をしながら進行し、参加者を巻き込んだワークショップをめざすのがベストです。オーディオが聞こえるか、スライドが良く見えるか、などは小さなことですが、参加者の心を掴むための大きな気配りです。
会議・ミーティングでよく使われるフレーズは以下記事でご紹介しておりますので、是非ご参考ください。
資料説明にメリハリをつけるフレーズ
資料説明に起承転結をつけて説明していくには、こういった表現が有効です。
・「まず始めに」
First of all,
Firsly,
To start with,
Let’s start with…
・「続いて」
Next,
Secondly,
Then,
・「更に」
In addition to that,
Additionally,
Moveover,
Also,
・「重要なのは」
Note that,
It is crucial/important/critical to…
Remember,
・「それと同時に」
Meanwhile,
At the same time,
Simultaneously,
・「結果として」
As a result,
Consequently,
In the end,
・「最後に」
To conclude,
Finally,
Ultimately,
・「まとめると」
To summarise,
In summary,
To sum it up,
To wrap up,
参加者を巻き込むためのフレーズ
聴衆の注意を引き、効果的なデリバリーをするには、聴衆を巻き込む質問をすることです。以下のような質問をして、参加者の意見や経験を聞いてあなたのプレゼンテーションを盛り上げましょう。
Has anyone have the similar experience?
似たような体験をしたことがある人はいますか?
[~さん]、ご自身の体験を共有していただけますか?
What would you do in this situation?
あなただったら、この場面ではどうしますか?
途中でQ&Aを挟みながら進めることも効果的です。
Has anyone have any questions so far?
ここまでで質問のある方はいますか?
Are there any points that need to be clarified?
もっと説明が必要な部分はありますか?
Feel free to ask any questions you might have.
質問があれば遠慮なく聞いてください。
小グループを作って話し合う機会を入れると全員が意見を言う機会となり、参加者の満足度がアップします。
Let’s break into small groups to discuss this point further.
小さなグループを通って、この点についてもっと話し合いましょう。
Take a moment to think about this in a group and share answers.
これについて少し時間を取って、小グループで話し合ってから意見をシェアしましょう。
Turn to the person next to you and share your ideas on this topic.
隣の人とこのトピックについて自分の意見を話してください。
セッションのまとめを参加者に頼むことも効果的です。
What key takeaways do you have from this seminar?
このセミナーから学んだことは何ですか?
Can anyone summarise the main points we’ve discussed today?
誰か、今日話し合ったことの要点をまとめてもらえますか?
What will you do differently based on what you’ve learnt today?
あなたが今日学んだことを元に、明日から違うやり方をしようと思うことは何ですか?
QAセッション
参加者の質問、懸念、フィードバックに対応するために、インタラクティブな Q&A セッションに時間を取ります。Q&Aではどんな質問が出るか予測できない部分があるため、資料説明のように英語フレーズを準備することが難しくなります。
しかし、「良い質問ですね」や「その質問には回答できません」という一般的なフレーズだけは覚えておきましょう。Q&Aに使える英語表現は、以下の記事内で詳しくご紹介しています。
まとめ
セミナーの流れに従って英語のフレーズをたくさんご紹介いたしました。当日のセミナーの流れを具体的にイメージして、自信を持ってセミナーに臨みましょう。準備編、当日編で繰り返してお伝えしたように、参加者とのエンゲージメントを大事にして計画、進行をしましょう。その際に最も重要なのは、自分が楽しんでやることです。ポジティブなエネルギーを持つことは、熱意とメッセージを伝達させるための一番大事な要素です。
多言語コミュニケーションにお悩みでしたら、プロの通訳に任せるのも一つの手段です。
企業への依頼やコミュニケーションシーンなど、特に正確性が求められる場合は、機械翻訳に頼らずプロの通訳・翻訳会社に依頼しましょう。
OCiETeではオンライン通訳や現地通訳サービスで、言語コミュニケーション課題をサポートいたします。
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通訳者視点で解説!通訳が訳しにくいセミナーとは?
書き言葉の文章は、話し言葉の文章に対して複雑で凝縮された文章なので、聞いている方は相当集中していなければすぐに内容を把握することが困難です。一日中の研修で通訳をする時は初見で同時/逐次通訳をしなければいけない中、早口で資料を読み上げられてしまうと、通訳はお手上げです。資料に書かれている内容を目で追いながら話者のスピードについて行こうと必死になりますが、たいへんな集中力を使うためにプレゼンの最後に到達する前に意識が遠くなります。
一方、視覚的なイメージを話し言葉で説明していくプレゼンの通訳は楽しいものです。イメージを見てそのスライドが何を伝えたいのかがすぐにわかります。話者はオーディエンスの反応を見ながら結論に向かって深堀していくので、通訳にもメリハリがつきます。また、話者が楽しそうに興奮して話していると、その人の想いがよく伝わるので内容が理解しやすくなります。