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IT業界人でなくてもIT用語に関わらなくてはいけない時代なりました。会計士が帳簿を手書きで付けている所は流石に殆どなくなりましたが、未だに「紙で申請書を出して承認印を印鑑で押す」という企業が意外にも多い日本企業は、これからもDXの伸び代が大きいようです。
この実態に蓋をしている経営者がIT時代の波に乗れるよう、英語でDX推進のための依頼書を書けるようになる情報を集めました。
今取り組むべきDX、日本ではどれだけ進んでいる?
「2025年までにDXを推進しなければ毎年12兆円の経済損失が生じる可能性がある」と発表したという経済産業省の予告まで、あと1年を切りました。スイスの機関IMDが毎年発表する「世界デジタル競争力ランキング(World Digital Competitiveness Ranking)」の2023年の結果によると、64か国中総合で32位。3年連続の衰退になっています。アジア勢は3位にシンガポール、6位に韓国、9位に台湾、10位に香港と、日本を大きく引き離しています。
こちらの記事では、そういったITソリューションを開発する際に必要となる英単語をご説明します。自社のソリューション開発をオフショアに依頼してコストを下げたい方、IT用語は略語とカタカナが多くていまいちわからないという方、ビジネスソリューション製品を英語で読んでいると意味がわからなくなる、という方必見です。
DXに欠かせない英語表現を学び、DXを推進しよう!
基本用語とITトレンド用語
まずは今更聞けない基本用語と、今こそ知っておきたい新技術についての用語をご紹介します。
IT | アイティー (Information Technology) | インターネットなどの通信とコンピュータとを駆使する情報技術。 |
DX | ディーエックス (Digital Transformation) | デジタル化により社会や生活の形・スタイルが変わること。 デジタル技術を活用して、業務プロセスやビジネスモデルを改善すること。 |
IoT | アイオーティー (Internet of Things) | 家電やカーナビなど、周囲にあるモノがインターネットにつながる仕組みのこと。 |
Digital Capitalism | デジタル資本主義 | デジタル化された情報が価値の源泉となる「デジタル資本主義」に対する、経済システムの構造転換。 |
Big Data | ビッグデータ | 事業に役立つ知見を導出するためのデータ。 |
Metadata | メタデータ | 「データに関するデータ」つまり、データの内容について説明したもの。検索・整理、保管の効率化やア ーカイブでの提供に役立てられる。 |
Cloudization | クラウド化 | 自社サーバーなどを設置して利用していた既存の情報システムを、外部の事業者のクラウドサービスを利用する方式に移行すること。 |
On-premise | オンプレ | データを格納するサーバーが会社などの敷地内にあること。クラウドの対義語。 |
Scalability | スケーラビリティ、拡張性 | システムやネットワークの料金や小域などが、規模や利用負荷などの増減に対応すること。 |
Low-Code Platform | ローコードプラットフォーム | コンピュータへの指示を記述するコードを最小限にしてアプリケーションやシステムを開発する新技術。 |
WFA | ダブリューエフエー Work-From-Anywhere | 従来のオフィス中心のビジネス環境、組織構成を、さまざまな拠点に人材を配置する「分散型エンタープライズ(分散型企業)」を実現する組織構成。 |
CSM | シーエスエム、サイバーセキュリティ・メッシュ (Cybersecurity Mesh) | クラウド、オンプレなどの特定の領域に特化した境界防御ではなく、不特定のすべての領域を覆う網目状の”面”でサイバー攻撃をブロックする最新のアプローチ。 |
IT Automation | ITオートメーション | ソフトウェアやシステムを使用して、時間がかかりエラーが発生しやすい反復的なルーチンプロセスを置き換え、手動による作業を減らすこと。 |
ERP | 統合基幹業務システム、基幹システム Enterprise Resources Planning | 企業経営の基本となる人的・物的・金銭的リソースの一元管理システム。 |
MES | 製造実行システム (Manufacture Enterprise System | 生産ラインの各製造工程と連携して在庫状況や工程進捗などをリアルタイムに把握し、生産計画にもとづいた作業スケジュールの設計や、管理者への指示出しを行うシステム。 |
Chat GPTに聞く、ITトレンドTOP3
- 「スケーラブルなクラウド容量」(Scalable cloud storage)
データストレージ使用量に応じて課金されるシステム。契約容量の見直し期間が1か月などと短いことも特徴で、使っていないものには支払わないというコスト削減をすることができます。
- 「ソリューション開発の民主化」 (Democratization of solution development)
ローコード、またはノーコードプラットフォームの台頭により、コーディングの経験がほとんどないユーザーでもITソリューションが構築できるようになりました。IT 部門への依存が軽減され、企業のソリューション実装が加速されそうです。
- 「最適化のための予測分析」(Predictive analytics for optimization)
最新のワークフロー自動化 AI プラットフォームは、業界・企業固有のニーズを満たすために、より優れたカスタマイズとスケーラビリティを提供する機能が進化しています。組織はワークフローを調整・最適化し、業務の成長に応じて自動化を拡張できます。
ERPで企業経営を一元管理!基本概念と用語
ERP(基幹システム)は、企業経営の基本となる「リソース(人・物・金)」を効率化、有効活用するためのITです。企業の実務である会計、人事、生産、物流、販売などの幅広い業務分野を自働化する機能があります。情報の一元管理で運営がより早く確実になるだけでなく、報告・予測機能を利用して最適化をすることもできます。
業務分野の管理に関する詳細を、英語も一緒に覚えてしまいましょう。
- 財務管理(Financial Management)
財務管理は毎日のお金の出入だけでなく、報告や予算編成もしてくれる。
Financial management not only handles daily cash flows, but also provide reports and budgeting.
- 会計管理(Account Managment)
会計ソフトを入れてから決算書も貸借対照表も自動で作成される。
After imolementing accounting software, financial statements and balance sheets are automatically created.
- 文書管理(Document Management)
文書のデジタル化でセキュリティとコンプライアンスが強化された。
Digitizing documents strengthens security and compliance.
- 人事管理(HRM、Human Resources Management)
人事管理とは、採用、オンボーディング、パフォーマンス管理、給与処理、福利厚生管理、トレーニングなどを含みます。
Human resources management includes recruiting, onboarding, performance management, payroll processing, benefits management, training, and so on.
- 在庫管理(Stock Management)
在庫管理ソリューションを導入してから余剰在庫がなくなり在庫が最適化された。
After implementing an inventory management solution, excess inventory was eliminated and inventory was optimized.
- 顧客管理 (CRM、Custom Relation Management)
CRM システムは顧客データを一元管理できるので顧客満足度を向上させることができる。
CRM systems can centrally manage customer data and improve customer satisfaction.
- サプライチェーン管理 (SCM、Supply Chain Management)
SCMとは、原材料の調達から最終目的地での製品の配送までを管理することです。
SCM is the management of raw materials from procurement to delivery of products at their final destination.
- プロジェクト管理(Project Management)
プロジェクトの計画、日程作成、人員配分、実施、追跡、納品などを自働化するソリューションを構築したいと考えています。
We would like to build a solution that automates project planning, scheduling, staffing, implementation, tracking, and delivery.
- ビジネスインテリジェンス(BI)
BI と分析ソフトウェアを使用すると、組織はデータを収集、分析、視覚化し、ビジネスパフォーマンスを向上するヒントを得られる。
BI and analytics software allows organizations to collect, analyze, and visualize data for insights that improve business performance.
ERPでDXを進める手順
ERP企業を選定する
インターフェースや得意分野などから、依頼書を送りたいベンダーを選定します。現状と達成したいゴールを明記した依頼書を作成してベンダーに送り、回答をもらって比較します。
まずはERPを取り扱う企業について見てみましょう。ERPツールの市場シェアTOP 3は、Microsoft Dynamics 26.56% (顧客 68,059社)、Workdayは 12.43% (顧客 31,859 人)、SAP ERP(SAP S/4HANA) の市場シェアは 10.78% (顧客 27,624 人) です。
ただし、3位から5位までのSAP製品をすべて合わせるとSAPの市場シェアは36.24%、顧客数は66,805となります。
代表的なERPベンダーは以下です。
- Microsoft (US、1975)
- SAP (ドイツ、1972)
- Workday (US、2005)
- Oracle Corporation (US、1977)
- Salesforce (US、1999)
- Sage Group plc (UK、1981-)
- Infor(US、2002-)
- IBM(US、1911)
またソフトウェアソリューション(上記に挙げた管理システム)を使いやすいインターフェースで提供する会社としては、以下のような企業があります。
- Tata Consultancy Services (インド、1968)
- HCL Technologies (インド、1976)
- Infosys (インド、1992)
- Wipro Limited (インド、1982)
- Accenture (US、1989)
ERPは、企業のビジネスに応じて最も使いやすい形にカスタマイズして導入されるため、ERPのライセンスを持ったベンダーが介入します。アメリカの製品をオフショアエンジニアで注目の集まるインドでカスタマイズ、という流行が見えますね。
依頼書を作成する
依頼書を作成する場合には、以下のような情報が必要になります。こちらも英語と一緒に覚えていきましょう。
- イントロダクション (Introduction)
- 会社概要 (Business overview)
- 人員数と店舗/支店数 (No. of employees and branches)
- 業種 (Industry)
- 現状のチャレンジ (The current challenges)
- ボトルネックとなる不都合や不具合 (The bottleneck inconveniences and problems)
- 具体的な事象 (Actual events)
- ビジネスが目標とする姿 (The business objectives)
- 新たなITソリューションの導入によって達成したいこと
(The objectives to achieve by implementing new IT solutions) - ビジネス要件(機能や能力を含む)
(Business requirements including fanctionalities and capabilities) - 現状のワークフロー (The current workflow overview)
- ソリューションを導入したい場所のワークフロー
(The workflow of the areas where the solutions will be implemented) - スケジュールと予算 (Timeline and budget)
- 主要なマイルストーン (major milestones)
- 期限 (Timeline)
- ITソリューションと実装サービスの予算 (Budget for IT solutions and imlementations)
貰った回答を丸ごと自動翻訳(翻訳の手順と裏技)
最低でも依頼書は丁寧に翻訳したものを送ることが必須ですが、回答については丸ごと自動翻訳、不明な点をマークして会議で通訳を介して詳しく討議、という方法で時間とコストを削る方法もあります。その手順と裏技をお伝えします。
1. Google 翻訳の文書翻訳機能で翻訳
Google 翻訳の文書翻訳機能、使ったことはありますか?PDF文書をまるごと翻訳してくれる、優れものです。もちろんおかしな所は散見されますが、概要把握、社内共有には役立てるレベルです。
2. 翻訳された文書をダウンロード
3. AIがIT用語と認識していない用語をチェック
以下のワードは、まだAIがIT用語と認識していないので、気を付けましょう!繰り返し使われるようであれば一斉に置換するのもお勧めです。
英語 | 自動翻訳 | 真意 |
---|---|---|
architecture | 建築 | 構造、アーキテクチャ |
delivery | 配達 | 納品 |
landscape | 景観 | ランドスケープ |
third party | 3つのパーティー | 第三者 |
migratioin | 移住 | 移行 |
loading | ロードする | 読み込む |
production environment | 製造現場 | 本番環境 |
まとめ
以前もお話ししましたが、IT用語はカタカナのまま使われる事が多く(アーキテクチャなど)、日本語に訳するのは比較的簡単なのですが、そもそも意味や概念を理解しなければいけません。経産省が警告するように、ITと一緒に進化しなければ競争力が弱くなるばかりです。雇用者にとっても、古いシステムで働き続けるよりも新しい機能が導入されて業務が効率化された方が働き甲斐を感じるはずです。自社の成長とスタッフのモチベーションのために、DX化を頑張りましょう!
多言語コミュニケーションにお悩みでしたら、プロの通訳に任せるのも一つの手段です。
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こういった背景のためか、IT関係の通訳の需要が増えています。多岐に渡る業種と企業でお仕事をさせてもらう中で私が学んだ知識と用語を共有します。基本のIT用語と基礎知識から、英日文書自動翻訳のコツも紹介していますので、どんな方にも楽しんでいただけるかと思います!