ビジネスシーンの英文メールの書き方は?英語メール定型文~本文編~

「メールの書き出し(Vol.23)」と「メールの結び(Vol.24)」に続き、今回は本文で相手に伝えたい内容を書く時の注意点、定型文についてご紹介しています。

北澤のじ

日本語の文章は「起・承・転・結」と言われますが、英語のビジネスメールは「起・承転・結」と3つの段落を作るように考えると良いでしょう。

英文メールの構成

日本の業界で活躍するみなさんは、ビジネスメールで必須の要素は1. 宛名、2. 挨拶、3. 名乗り、4. 要旨、5. 詳細、6. 結びの挨拶、7. 署名 と教えられてきたのではないでしょうか。
英語のビジネスメールは必ずこの5つの要素が必須と言われています。

英語ビジネスメール必須要素
  1. Subject (題名)
  2. Greeting (挨拶)
  3. Opening lines & Body (本文)
  4. Closing (結び)
  5. Sign-off (署名)
北澤のじ

顔を見たことがない相手には、毎回自分の名前を名乗ることは普通しません。日本でいう「4. 要旨」と「5. 詳細」は、英文メールの「3. Opening & Body」にあたり、「承・転」の部分になります。今回は「3. Opening & Body」についてフォーカスします。

1. 挨拶のメール定型文

展示会や説明会などで出会い、名刺を交換した人への挨拶メールの例です。
話をした内容や一緒に体験したエピソードを書いて、相手が自分のことを思い出せるように工夫したメールにしましょう。

挨拶のメール定型文

Subject: Greetings/ (出会った場所)

Dear (相手の名前、敬称をつけてフルネームで),

Good day. My name is (あなたの名前), we met at (出会った場所やシチュエーション).

It was great meeting you. (相手が話したこと、共通の関心など).

I can be reached at this email address, and my phone number is (あなたの電話番号).
It will be great to meet you again.

All the best,
(あなたの名前)

「相手の話」について書く場合の例
It was interesting to know about the insight of IT security in Singapore. I’ll do my research and learn more about it.
シンガポールのITセキュリティに関する見識を知ることができて興味深かったです。もっと詳しく調べて勉強します。

「共通の関心」について書く場合の例
I was very inspired to hear about your green energy project. I wish you great success for your project and hope to hear about the outcome.
あなたのグリーン・エネルギー・プロジェクトの話を聞いて、とても刺激を受けました。あなたのプロジェクトが成功することを祈っています。

2. お礼のメール定型文

一緒に仕事をした人や、情報提供者へのお礼などのシチュエーションで使える定型文になります。

北澤のじ

私がお礼のメールを作成する際は、「何故感謝しているか」「何が達成できたか」「特に素晴らしかったところ」を書いて気持ちが伝わるようにしています。

お礼のメール定型文

Subject: Thank you for (感謝する内容)

Dear (相手の名前、いつもの呼び方),

Good day. I hope my email finds you well.

Thank you very much for (感謝する内容).
With your support, we were able to (達成した内容).
We also appreciate that (特記したい素晴らしい協力).

We hope to work with you again in the near future.

Sincerely,
(あなたの名前)
(あなたの会社名) 

本文の内容の一例をご紹介します。記事に使った写真の提供者へのお礼を設定しています。どのように役立ったか、特にどんな所に感謝しているかに注目してみてください。

本文の記入例
Thank you very much for (providing photos from the event).
With your support, we were able to (publish our articles with stunning images for the viewer to see the colourful costume of the carnival).
I also appreciate that (you charged us very reasonable fees).

イベントの写真を提供していただき、ありがとうございました。
おかげさまで、カーニバルの色とりどりの衣装をご覧いただけるよう、素晴らしい画像とともに記事を掲載することができました。
また、非常にリーズナブルな料金にしていただいたことにも感謝しています。

3. 連絡のメール定型文

連絡のメールは大きく「報告 (Report)」と「連絡 (Communication, Information)」に分けられます。

「報告」Reportは、指示を与えられた人が、その進行状況や結果を、指示を出した人に伝えることで、「連絡」Informとは、得た役立つ情報を、他の関係する人にお互いに伝えることです。

では、CommunicationとInformationがどう違うかと言うと、前者は相互関係があるのに対し、後者は一方的です。なので、HRが社内連絡をする際の題名にはInformationではなくCommunicationとあり、一方的な連絡ではない事が主張されています。

連絡のメール定型文

Subject: Report/Communication/Information regarding (事柄)

Dear (相手の名前、いつもの呼び方),

Good day. I hope my email finds you well.

I would like to report/inform you regarding (事柄).
(事象) .
(相手に取って欲しいアクション、自分がこれから取るアクションなど)

(本文に合った結びの言葉)

Best regards,
(あなたの名前)

4. お詫びのメール定型文

納期が遅れた、書類に不備があった場合などの不手際の際にお詫びのメールを書くでしょう。その際に気を付けたいのは主語をIにするか、Weにするかです。取引のある相手であれば電話で担当者と話している場合が多いので、担当者の上の役員や数名の関係者などにメールをする場合を想定しています。

定型文のコピペでは想いが伝わりきらない部分がありますが、最低限丁寧な表現のお勧めはこちらです。相手の立場に立って、どのような事が迷惑だったか、どんな負担を背負わせてしまったか、また今後の対処法について書くことがお勧めです。

お詫びのメール定型文

Subject: Apologies for (謝罪する内容)

Dear (相手の名前、いつもの呼び方)または(チームに相応しい名称),

Good day. I hope my email finds you well.

I/We would like to send you my/our (deepest) apology for (謝罪する内容).
I/We understand that (不手際によって起こった相手の損益や不便)
It was caused by (不手際の原因).
I/We will make sure that (対策) and will not repeat the same mistake again.

I/We truly appreciate that you handled the situation despite our mistakes.
Any advice or suggestions on the reflection of this event will be highly appreciated.

Sincerely,
(あなたの名前)
(あなたの会社名、主語がWeの場合) 

5. お願いのメール定型文

北澤のじ

さて、最後にご紹介するのは「依頼」の仕方について。依頼をする場合は期限までに返信をもらう必要があるため、書き方に気を付けなければいけません。

情報提供依頼、会議への参加依頼、アドバイスを求める相談、お金や人などの追加のリソースの要求など、依頼の種類は色々です。どれも、こちらが締め切りのあるプロジェクトである場合がほとんどですが、依頼を求める相手には全く関係のないことかもしれません。依頼メールを書くときの注意点は、この6点です。

依頼メール作成6か条

1. 明確に!
依頼している理由を明確に説明しましょう。理由もなく何かを要求することは誤解を生むばかりでなく、失礼にもあたります。

2. 簡潔に!
欲しいものを、何故欲しいか、いつ欲しいか、できるだけ簡潔にわかりやすく伝えます。

3. 一文一意で!
依頼の内容が複雑な場合は、箇条書きでわかりやすくステップを分割するのも効果的です。

4. 明確な期限を伝える!
「~までにお願いします」など、明確な期限を伝えましょう。緊急の場合はメールに合わせて電話も。

5. 「~だから、あなたが適任者なんです」を伝える!
相手がその仕事に適任である理由を付けると、相手も納得して引き受けてくれるでしょう。

6. CTAを再確認
メールの送信ボタンを押す前に、もう一度自分のメールがCall To Action(相手の行動を促すこと)ができているかを再確認しましょう。あなたのメールを読んで、相手は自分が期待されている内容、期日、理由ともに明確に理解できますか?

お願いのメール定型文

Subject: Request to provide information regarding (案件)

Dear (会ったことがない場合は、相手の名前に敬称をつけてフルネームで),
   (会ったことがある場合は、相手の名前をいつもの呼び方で)

Good day. I hope my email finds you well. My name is (あなたの名前) from (あなたの会社).

I would like to request your assistance for a current project involving (案件).
I would really appreciate if you could (相手にして欲しい内容).
rself. Please let me know whether you could assist us by (期限).
Your expert advice and support will be invaluable to the project’s success.

Should you have any questions, kindly send me an email or call on (あなたの電話番号).
I look forward to hearing from you.

Yours sincerely,
(あなたの名前)
(あなたの会社)

本文の記入例
I would like to request your assistance for a current project involving (marketing in Singapore).
I would really appreciate if you could (join a meeting to share your knowledge regarding local marketing agencies).
Please let me know whether you could assist us (during the course of the week).
Your expert advice and support will be invaluable to the project’s success.
シンガポールでのマーケティングに関わる現在のプロジェクトについて、あなたのお力添えをお願いしたいと思います。
現地のマーケティング・エージェンシーに関するあなたの知識を共有するために、ミーティングに参加していただけると本当にありがたいです。
今週中にお手伝いいただけるかどうかお知らせください。
あなたの専門的なアドバイスとサポートは、プロジェクトの成功にとってかけがえのないものとなるでしょう。

北澤のじ

簡潔な文章ですが、CTAが明確な文章になっています。最後の文章は一般的な例ですが、ここを工夫して書くことができると相手を「協力してあげよう」という気持ちにさせるメールにすることができますよね。

Should you と Kindly

結びの文章にある“Should you have any questions, kindly…” は、フォーマルな文章でよく使われる表現です。
Ifの代わりにShouldを使い、pleaseの代わりにkindlyを使う、と覚えておきましょう。

Dos と Don’ts

同じ会社やプロジェクトで働く同僚にとっても同じことで、あなたが相手のボスでない限り依頼に応える義務はない、という考え方は海外で働いたことがない方には理解が難しいかもしれませんが、日本と違ってメールの返事が来ないというのは当たり前のことです。

Do!

「できない場合はご返信不要です」や「●●日に電話を差し上げますので、その時にご意見お聞かせください」など、メールに応じなくても良い逃げ道を作ることができます。メールの相手が面目を保ち、良い関係を維持できるスマートな方法です。

Don’t!

“Thank you in advance”や “I look forward to your reply”は英語の観点から見ると不自然なプレッシャーです。使うなら “I look forward to hearing from you”となります。「それでは言い方が柔らかすぎて…。」と思われるかもしれませんが、こういったプレッシャーをかけないのが英語文化のマナーとも言えます。

北澤のじ

期待しすぎないことが良好な関係を続ける鍵。依頼はあくまで依頼、相手があなたのスケジュールに合わせてリクエストに答える義務はありません。

まとめ

日本語でも同じですが、ビジネスメールは定型文に慣れてしまえば書きやすいものです。題名、挨拶、本文、結び、署名の5つで構成すること、各部に定型文を使うこと、それが全てです!あとは、メールの目的が達成されるような礼儀と気遣いが込められれば完璧です! メールを自信を持ってさっと書けるようになれば、効率が上がり仕事が順調に進むようになりますよね! 頑張って下さい!

参考

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北澤のじ
歴史と文化と自由に興味を持ち、ヨガとキャンプとお酒を愛するDigital Nomad。通年20年、50か国以上での海外経験があり、南アフリカの市場調査、フリーランス通訳、英語塾経営を通して日本企業の海外進出、日本のグローバル化を応援しています。 通訳としては、社内通訳7年、フリーランス通訳8年の経験があります。20代にバックパッカーで世界を旅行していたら英語脳が作られ、大企業で同時通訳をさせてもらえるようになりました。アフリカ英語塾の塾長としてアフリカの講師と一緒に英語を教え、誰でも英語が喋れるようになることを伝えています。