目次
英語文化にも「上司と部下」の関係はありますが、「上下関係」は日本ほど色濃くないと言えます。企業文化にもよりますが、上司を”John”, “Kelly”などと名前で「呼び捨て」にすることはごく一般的です。
私が現在通訳をすることが多い製造業では、社員約1万人規模の企業でも製造のトップは”Dave”と呼ばれています。その上で地域を総括するCEOは ”Dr. Smith”と呼ばれます。ちなみに、Mr.でなくDr.と呼ばれるのは博士号を持っているため。博士号のある人は女性でも男性でもDr. が優先される敬称となります。
会社の人間関係を、英語ではどのように言うのか?言葉を知る事から英語文化のコミュニケーションが見えて来そうです。
そもそもなぜ上下関係を意識しない?
英語文化では、上司との距離が近いだけでなく、先輩後輩の上下関係を意識しない特徴があります。
考えられる理由としては、
- 個人主義、会社に入ったら一人前として扱うことが多い。
- 日本のように先輩が後輩に知識や技術を教える習慣がない。
- もともと、年の差をあまり気にせずフランクにコミュニケーションする。
- パワハラ、モラハラの線引きが厳しいため、上からの厳しい態度を避ける。
という背景があるのではないでしょうか。
英語で「上司」どう表現する?
それでは英語で「上司」を意味する際にはどのような表現を用いるのでしょうか?ニュアンスが異なるいくつかの例をご紹介していきます。
Boss
最も一般的でカジュアルな言い方です。ただし、直属の上司ではなく会社のトップを指す場合が多いです。
例: My boss is very supportive.(私の上司はとてもサポートしてくれます。)
Manager
管理職の人を指す場合に使いますが特に、自分の部門やチームを管理している人、つまり「上司」を表します。その場合はMy managerとMyを付けるのを忘れないように。
例: I need to speak with my manager.(マネージャーと話さなければなりません。)
Supervisor
部下を監督する役割の人に使います。特に、製造や建築で業務の進行を監視する立場の人に使われます。
例: My supervisor gave me a new task.(私の上司が新しい仕事を与えてくれました。)
Superior
あまり日常的な言い回しではありませんが、上司や目上の人を指すフォーマルな表現です。
例: I report to my superior.(私は上司に報告します。)
英語で「部下」はSubordinate?
部下を辞書で調べるとSubordinateと出てきます。SubordinateはSub (~よりも下)+ordain (任命される) で、「任命されるに足らない」という階級を表すラテン語が語源です。
Subordinate
部下や下の立場にある人を指します。ややフォーマルな表現です。
例: I have several subordinates in my team.(私はチームに数人の部下がいます。)
Team member
チームの一員という意味で、部下を指す際にも使われますが、より柔らかい表現です。
例: He’s a valuable team member. (彼は貴重なチームメンバーです。)
英語で「同僚」は何て言う?
「同僚」は英語で “colleague” または “coworker” と言います。前述のように、先輩後輩の関係性が日本とは違い、年齢や経験に基づく細かい区別をしないので、立場や階位に関わらず「同僚」と呼ばれる場合が多いです。
Colleague
職場で一緒に働いている人を指す、最も一般的でフォーマルな表現です。
例: She is a colleague of mine at the office.(彼女は私のオフィスの同僚です。)
Coworker
少しカジュアルな言い方で、同じ職場で働いている人を指します。特に親しい関係の同僚に使われることが多いです。
例: I have a great relationship with my coworkers.(私は同僚と良い関係を築いています。)
どちらも同じ意味で使えることが多いですが、”colleague” の方が少しフォーマルなニュアンスがあります。
英語で「先輩」の観念はある?
「先輩」は英語で直訳すると「senior」と言えますが、日本語の「先輩」の意味を正確に伝えるためには文脈に応じて言い方が変わることがあります。
Senior
学校や職場で自分より上の立場の人に対して使う言葉。例えば大学での学年や職場での年次が上の人に対して使われます。
例: He’s a senior at my university.(彼は私の大学の先輩です。)
上司か先輩かは関係なく、アドバイスをくれる経験豊富な人や、指導してくれる人に対してはMentor(メンター)を使うことができます。
例: She’s been a great mentor to me.(彼女は私の良き先輩です。)
英語で「後輩」の表現はない?
NewbyやFreshmanなど「新人」、を指す言葉はありますが、「後輩」という自分が面倒を見る立場で使われる、しっくりくる英語はなかなかありません。My assistantという仕事の補佐をする役目がそれに近いように感じます。
Junior
経験が少ない人を指す言葉。自分の部下、後輩でなくても使われることが多いです。
例: She’s a junior in the company.(彼女は会社の後輩です。)
Subordinateとも言えますが、どちらかと言うと部下を指し、しかも一般的ではありません。
「同期」は日本特有?
「同期」は英語で “peer” や “colleague” がよく使われます。海外では日本のように4月に入社式があり沢山の人数が同じ時期に雇用されるという文化ではないので、同期=同時期に入社した人、という意味合いでは使われません。
Peer
同じ立場や年齢、学年などの人を指します。「同等」という意味を強めた言葉です。
例: He is my peer at the company.(彼は会社での同期です。)
Company friend
カジュアルな言い方で、同じ会社の同期を始め、プライベートでも気軽に会うような仲の人を指す場合に使うことができます。
例: He’s a company mate of mine.(彼は私の会社の同期です。)
[応用編]上司との関係性を英語で伝えてみよう!
上司や先輩の関係を使った文章の例文を見てみましょう!
ポイントは、感情のこもったことは中々直訳しにくいという所です。訳にこだわらず、気持ちが伝わるように英語で言えるようになるよう、以下をご参考ください。
若い時は会社の先輩と飲みに行って、いろいろ教えてもらった
I used to go out to drink with my senior when I was younger, and they taught me a lot.
上司とのコミュニケーションがうまくいかなくて悩んでいる
I’ve been having a trouble because of the communication issue with my manager.
もう社長には相談しましたか?
Have you spoken to the Boss yet?
まとめ
英語文化のフランクな関係は気を遣い過ぎることなく、ありのままの自分に近い姿で生活できるという感覚があります。その一方で日本の職人文化に代表する、先輩や師匠からの技と知識の伝達がされないマイナスの点もあります。どちらも理解し、良い所を取って人間関係を構築できるようになると良いですね。
多言語コミュニケーションにお悩みでしたら、プロの通訳に任せるのも一つの手段です。
企業への依頼やコミュニケーションシーンなど、特に正確性が求められる場合は、機械翻訳に頼らずプロの通訳・翻訳会社に依頼しましょう。
OCiETeではオンライン通訳や現地通訳サービスで、言語コミュニケーション課題をサポートいたします。
現地のアテンドや商談時の通訳、会社案内や契約書の翻訳、さらに即戦力人材のご紹介や海外進出に向けた事前リサーチや営業代行も承ります。
コーディネーターが、業界や商品・サービスごとに精通した担当者をシーンや用途に合わせ、ご案内いたします。お気軽にお問い合わせください。
上記は一般的な辞書英語ですが、実際に生活していてSubordinateと言う人にはなかなか出会ったことがありません。
“My team is working on resolving that issue” というように”My team”と“My guys”, “My department”, というように、一つの「チーム」があり、自分がリーダーという考え方が一般的です。