外国の方とのコミュニケーション「タブーの嘘・ホント」ボディーランゲージ編

外国の方とのコミュニケーション「タブーの嘘・ホント」ボディーランゲージ編

筆者が初めてパスポートを作り旅に出た23歳の当時。外国では挨拶としてハグやキスをすることを知り「誰でもハグやキスをするなら、友達とパートナーの違いはどこにあるんだ?」と混乱したのを覚えています。日本人はパーソナルスペースを広く取る民族です。私は日本の父、母、兄への挨拶でハグをしないと海外の友人に言うとびっくりされます。
海外での「挨拶の普通」「どのように挨拶を受け入れるか」そして「やっちゃいけないジェスチャー」に関する私の経験をご共有します。

外国の方とのコミュニケーション「タブーの嘘・ホント」失礼にならない英語表現
Click me

挨拶の「普通」は国や人によって違う

世界にはどのような挨拶があるのか、大まかに見ていきましょう。同じ国でも関係性や地域によって違うこともありますが、一般的な例を知り、どのように対応するかを一緒に考えましょう。

エアキス (フランス、イタリア、スペイン、ベルギーなど西欧)

西欧の多くの国では、両頬に1回ずつの「エアキス」をします。チュッと音を立てますが、本当にキスをするわけではありません。頬が触れる場合もありますが、全く触れないこともあります。ちなみにエアキスの順序は、フランスでは右・左、イタリアでは左・右の順。混乱します!

ハグとキス(ブラジル、アルゼンチン、メキシコなど中南米諸国)

ラテンアメリカの挨拶のジェスチャーはヨーロッパに比べて情熱的。上半身を合わせてがっしりと、心のこもったハグをした上に頬に1回のキスをするのが一般的です。初めて会った人でも昔からの友人のような気持ちにさせるラテン系の人の温かさを感じる挨拶です。

胸に手を当てる(カタール、オマーンなどのアラブ諸国、エチオピアやケニアなどのアフリカ諸国)

右手を胸に当て、お辞儀をするように身体を少し傾ける、大変礼儀正しい挨拶です。お辞儀から身体を起こす前に、上目使いに目を合わせ、更に敬意を払います。目上の人、初対面の人などに向けられたジェスチャーです。

合掌(タイ、カンボジア、スリランカなどのアジア諸国)

胸の前で手を合わせて、相手を見つめて挨拶が仏教国では多く見られます。その手を顔の前、またはそれよりも高く上げて頭を少し前に傾けてお辞儀をすることでより敬意を表します。

握手(世界各国)

握手は万国共通の挨拶と考えて良いと思います。もしかすると、相手があなたの握手に対して手の甲を見せたり、手首を差し出したりするかもしれません。その場合は手の甲や手の先などでライトなボディータッチをします。

北澤のじ

南アフリカでは、握手した後にその手で拳を握り、胸を叩きます。あなたの手を握ったその手のパワーを心臓に送るかのような、素敵なジェスチャーです。

お辞儀(日本、中国などのアジア諸国)

首を前に出して「軽い挨拶」、頭を軽く下げて「会釈」、身体を30度、60度、90度の様々な角度に曲げて敬意の深さを表現するといわれますが、みなさんは意識したことはありますか?これは私の海外での鉄板ネタです。

その他 個性豊かな世界の挨拶

顔を嗅ぐ(グリーンランドなど)、鼻をぶつける(アラブ首長国連邦など)、足を触る(インドで年配の人に)、手の甲にキスする(欧米、南米で男性から女性に)、片膝をつく(ナイジェリアなどで年配の人に)、ひれ伏す(カメルーンなどで王様に)などもあるそうです。

When you are in Rome, do what Romans do (郷に入れば郷に従え) と言いますが、プロフェッショナルとして、また良い来客としてどのような態度が「タブー」なのかを見ていきましょう。

Click me

失礼を避けるために知っておきたいコミュニケーションマナー

先に紹介した挨拶のように、世界では国や人によって適切なコミュニケーション・ボディーランゲージも異なります。ここでは海外のビジネスパーソンとのやりとりで失礼を避けるために、また相手とより良い関係性を築くために知っておきたいコミュニケーションマナーについて解説していきます。

一般的な挨拶「握手」で気をつけるべきことは?

コンファレンスや展示会などで、自分をビジネスパーソンとして紹介する際の例を考えてみましょう。ここでの「一般的」な挨拶は男女共通して「握手」です。男性同士はもちろん、女性同士でも、どの場面でも自己紹介と共に右手を差し伸べて問題ありません。宗教色の強い文化では男性の握手を返さない女性もいるかもしれませんが、それは先方の自由です。ビジネスでパートナーを組んで行こうという国際交流の場で握手を差し出すこと自体はごく一般的な、リスペクトあるフレンドリーなジェスチャーです。

考慮すべきなのは失礼になるかでなく、自己肯定感が低く、社交性の低い人間だと相手に判断されることです。

もしもあなたが相手に握手を求めることを遠慮していたら、英語文化の人には「消極的な人、社交性に欠ける人」と映る危険もあります。相手が手を差し伸べるのと同じタイミングで手を差し伸べ、積極的で外交的な印象を与えることの方が、握手を拒否されるよりもよほど多いでしょう。

必ず同じ挨拶のジェスチャーをしないと失礼?

さて、上記は国際交流の場の例を挙げましたが、次はあなたがアラブ首長国連邦など、生活における宗教の比重の強い国に行ったとしましょう。国際交流の場ではなく、相手の領域に少数派としている場合は、相手の挨拶に倣うのが良いでしょう。握手を求めることは必ずしも良く思われない可能性があります。

スキンシップを重視するラテンアメリカなどに行った場合も、郷に入れば郷に従え、ラテンアメリカに入ればハグに従え?をお勧めしますが、どうしても身体を触られるのが嫌という方もいるかと思います。

大事なのは「オープンマインドで流されない」こと。自分が許容できないこと、不愉快に思うのであれば断ることも重要です。相手の文化だったとしても、自分のプライベートスペースを守ることは仕方のないことです。

事前に相手方のカルチャーをヒアリングするのがおすすめ

「本番」のビジネスパートナーに会う前に、相手の国ではどういったしきたりがあるのかを調査することをお勧めします。最低でも1人、できれば2人以上のローカルにアドバイスをもらうと良いでしょう。

どのように挨拶するべきかアドバイスを求める質問

How do you greet in your culture?
(あなたの文化ではどうやって挨拶しますか?)
Do you do a handshake?
(握手はしますか?)
Is it rude to offer a handshake to a female?
(女性に握手を求めるのは失礼ですか?)

相手の文化を尊重することと同じくらい、自分の許せる範囲(パーソナルスペース)を主張することも大事なことです。もしも挨拶だけでも不快に思うほどに異文化の違いが強いのだとすれば、一緒にビジネスをする上でも文化的な問題を原因に衝突することも考えられます。となれば、最初のうちから正直に言ってダメになるのも仕方のないことと考えられますね。

自分のパーソナルスペースに入られて不愉快に思う場合

We don’t hug or kiss to greet in Japan so I’m not used to it.
(日本ではハグやキスをしないので慣れていません。)
I am sorry, I hope I did not offend you.
(すみません、気を悪くしないで下さいね。)
I will get used to it.
(私もそのうち慣れます。)
I’m sorry, I’m not comfortable to greet in this way.
(すみません、この挨拶は得意ではありません。)

北澤のじ

「相手が求めてきたジェスチャーを断るなんて、できるの?」と思う方もいるかもしれません。私の最近の例では、フランスやイタリアでは、相手がキスをするのかハグをするのがを判断できないので、自分から右手を差し出し、握手を求めました。誰かと目が合ったら、Hi, I’m Noziと言って右手を差し出す。是非試してみてください。

  • 握手を求めることを恐れない!するかしないかは相手の自由、拒否されても気にしない。
  • 相手の文化の挨拶に慣れていないことをオープンに伝える。
  • 自分が快く思わない挨拶は無理をする必要はない。

知らない間にやりがちな「タブー行動」

世界で失礼とされるジェスチャーは色々あります。例えばギリシアでは「ピースサイン」「裏ピースサイン」、「掌を見せる」ことがそれぞれタブーとされているようです。どこに地雷が埋まっているかわからない異文化交流ですが、緊張して手を動かさないようにする必要なんてありません。

先ほどの項と同じように、ビジネスパーソンが集まる異文化交流の場では一般的な米英のジェスチャーのルールに従うと良いでしょう。ピースはOK、親指を立てるのもOK、ウィンクもOK、中指はNG、という具合に私たちの知る普通のルールです。視察や出張で特定の国に行く場合は、その国についての文化と挨拶の慣習を調査することをお勧め致します。

気を付けた方がいい日本のジェスチャー

日本では当たり前に使うジェスチャーでも、海外の方々にとって違う意味を持ってしまうものや、こちらの意図が伝わらないことも。ミスコミュニケーションを避けるためには、事前にそれらを把握しておきましょう。

手招き

日本では「手の甲を上にして高く上げ、指をパタパタさせる」ことで手招きをしますが、海外の方にとっては人を呼ぶのではなく追い払っているように見えるそうです。

OKサイン

人差し指と親指でサークルを作るOKサイン。これがOKだとわからない、と言う話を聞いたことがあります。親指を立てる方が一般的です。

お辞儀

身体を半分に折って相手に頭を下げるお辞儀。この行為を無礼だと思う人はほとんどいないでしょうが、この行為を「国際マナーのない田舎者」と思う人もいるようです。アメリカコメディーのネタになったりするのはそういう概念に起因します。

まとめ

どんなジェスチャーも、謙虚さとリスペクトが大事!これは会話と同じことです。相手とのコミュニケーションと文化理解を深めるためのツールとして楽しみながら経験してください!自分をより正しく表すためのジェスチャー、マナーを身に付けて、スマートな国際人になれるように、一緒に頑張りましょう。ご拝読ありがとうございました。

英語コミュニケーションに「OCiETe(オシエテ)」

Click me

多言語コミュニケーションにお悩みでしたら、プロの通訳に任せるのも一つの手段です。

企業への依頼やコミュニケーションシーンなど、特に正確性が求められる場合は、機械翻訳に頼らずプロの通訳・翻訳会社に依頼しましょう。

OCiETeではオンライン通訳や現地通訳サービスで、言語コミュニケーション課題をサポートいたします。

現地のアテンドや商談時の通訳、会社案内や契約書の翻訳、さらに即戦力人材のご紹介や海外進出に向けた事前リサーチや営業代行も承ります。

コーディネーターが、業界や商品・サービスごとに精通した担当者をシーンや用途に合わせ、ご案内いたします。お気軽にお問い合わせください。

通訳のお見積り依頼はこちら▷

通訳・翻訳に関するご相談
資料請求・お見積りの問合せ(03-6868-8786/平日10時~19時)

ABOUT US
北澤のじ
歴史と文化と自由に興味を持ち、ヨガとキャンプとお酒を愛するDigital Nomad。通年20年、50か国以上での海外経験があり、南アフリカの市場調査、フリーランス通訳、英語塾経営を通して日本企業の海外進出、日本のグローバル化を応援しています。 通訳としては、社内通訳7年、フリーランス通訳8年の経験があります。20代にバックパッカーで世界を旅行していたら英語脳が作られ、大企業で同時通訳をさせてもらえるようになりました。アフリカ英語塾の塾長としてアフリカの講師と一緒に英語を教え、誰でも英語が喋れるようになることを伝えています。