【オランダ現地レポート】ヨーロッパ起業・個人事業主にはオランダが最適?

【オランダ現地レポート】ヨーロッパ起業・個人事業主にはオランダが最適?

先日「個人事業主ビザ」でオランダに住む友人を訪ねて、アムステルダムに滞在しました。

オランダでは、EU圏外の外国の企業が拠点を置くための起業ビザ、フリーランスの仕事をしながら居住したりする個人事業主ビザを取得することが可能。ヨーロッパに進出することを考える起業家、個人事業主の方が、オランダを起点として欧州諸国の経済状況や物価などを調べ、市場の様子を肌で掴むための機会としても最適です。

私もオランダの滞在ビザを取得する可能性を考慮しつつ、オランダの今を観察した所感を皆さんにお伝えいたします。

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ビジネスチャンスを掴む「起業ビザ」と「個人事業主ビザ」

オランダでは、EU(欧州連合)、EEA(欧州経済領域)外の国の人が起業のチャンスを得られる二つのビザ、「起業ビザ」と「個人事業主ビザ」の取得が可能です。

起業ビザ(Verlijfsvergunning voor Start-up)は会社を立ち上げるための準備期間として1年間の期間が与えられます。一方、個人事業主ビザ(Zelfstandig Ondernemer)は、オランダと日本の間で提携されている日蘭友好通商条約による特別な待遇です。

どちらのビザもビジネスが革新的で独創的なものであり、オランダ経済に貢献するものと認められる必要があります。申請要件は比較的難易度が低く、EU圏内の国でこのような移住ビザが取得できることは稀です(その他申請要件についてはこちらから)。

オランダはヨーロッパのゲートウェイ!

ドイツ、ベルギーと国境を共にし、イギリス、デンマーク、ノルウェーなどの国々は北海を隔てた所に位置しています。ヨーロッパ諸国へのアクセスが良く、港もあるので貿易に適しています。

ユーロスターを使うと3.5時間でパリへ、5時間でロンドンへ移動することができます。費用は予約する時期と時間帯にもよりますが、片道チケットは60ユーロからあります。Easy JetRyan Airなどの格安航空券だと20ユーロでヨーロッパ各地に旅行することも可能です。

ヨーロッパでは、こういったLLCのお陰で、週末を利用して気軽に他のEU圏内の国に小旅行をすることができるところが魅力です。

北澤のじ

私が個人的に一番の利点だと思うことは、オランダ全土で英語が通じることです!オランダの英語話者は90%~93%と言われており、世界113カ国の英語能力を比較するランキングで第一位と評価されています。対象113カ国の平均得点の493ポイントを30%上回る647ポイントを取得しており、二位のシンガポールとは16ポイントの差があります。

オランダで生活し、ビジネスをする上ではオランダ語を話せなくても問題なく過ごせるでしょう。これは、独自の言葉に強い誇りを持ち、自国の言葉を離さない外国人に対して閉鎖的なところのあるフランスやスペインとは対照的です。

EF English Proficiency Index 2024

オランダの安定した経済

2024年の経済的成長率0.5%を見越しています。大きな成長を遂げてはいないものの、経済は安定しており多くのグローバル企業が活躍しています。国内でインフレーションが11.6%まで上昇しましたが、2024年現在は2.8%と落ち着いています。

オランダの企業への待遇

法人税が20~25%と他の欧州の国々と比べて低く設定されていることも起業者にとって大きな魅力です。シェル石油(エネルギー)、ユニリーバ(消耗品)、フィリップス(テクノロジー、ヘルスケア)、ハイネケン(飲料)、オンライン予約システムをリードするBooking.comなどに代表される大手多国籍企業がオランダに本社を置いています。

オランダの給与と社会保障

個人の生活面でも、社会保険などの制度が整っていること、生活水準が高いことで安全、快適な生活が望めます。2024年1月現在、オランダの21歳以上の人の最低時給は13.27ユーロ(2,158円)です。オランダ中央計画局によると、2024年の平均年収は42,236ユーロ(687万円)になると予想されています。非雇用者率は3.6%(2023年)と平均して低く、世界に8番目に給与の高い国となっています。2024年の最低労働賃金は1.9%上昇しました。

年金受給年齢は、今年2024年に65歳から67歳へと引き上げられました。オランダでは年金の積立が18歳から始まるため、雇用主が従業員に払う年金拠出金が大きくなります。しかしそのお陰か、オランダの年金は各基金の平均で約3%増加しているそうです。

北澤のじ

個人事業主ビザでオランダに在住する友人は、外国人でもオランダ人と同じ権利を与えられ、平等に扱われていると感じると話していました。制度が整っており、役所の手続きなども迅速で正確なところは日本人の気質に合っているようです。

オランダの業界トレンドは?

特に人工知能(AI)、フィンテック、ロボティクスの分野で技術革新の中心地です。アムステルダムなどのオランダの都市には多くのテクノロジー系スタートアップが拠点を置いており、世界のテクノロジー分野で注目を集める半導体の製造メーカー、ASMLとNXP Semiconductorsがあります。世界で有数の精密コンピューターチップの製造ができる土壌があるということが、この国の技術と管理能力の高さを表しています。

ハウジング・クライシス(住宅恐慌)

日本では少子化による人口の縮小が経済を脅かす社会不安となっていますが、オランダの人口は増え続けています。2021年からの成長率は毎年0.3%ずつ(6万人程度)で、特に都市部では人口に対して家の数が不足していることが社会問題になっています。高騰する家賃と住宅価格に対して、政府の迅速な対応を迫られています。(参考:
Netherlands Population Growth Rate 1950-2024|macrotrends

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まとめ

日本という制度の確立した秩序の正しい国に住み慣れていると、外国に住むことは不便で苦労が多くなるような気持ちになるかもしれません。しかし、オランダはインフラが整備されており、や交通機関も清潔で正確なことから日本人でも住みやすく、生活水準に置いてはむしろ日本よりも高いと感じました。

最近のコラムでは、ヨーロッパの国々を訪問した経験からフランス、ロンドン、オランダの事情を紹介させていただきました。それぞれの国で日本に取り入れたいような便利で効率的なサービス、また逆に紹介したら喜ばれそうな日本のサービスや商品を思いつくこともありました。そういった意味でもヨーロッパに拠点を置きビジネスの展開をしていく事は大変お勧めできます。日本から外に出て、風通しをよくすると自社の風土も、日本の経済も良くなっていくことでしょう。

北澤のじ

次週からは、実践で役立つ英語Tipsについてお届けいたします。

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