【ロンドン現地レポート】不動産・パブなど日常にも現れている「高級化の進行」

【ロンドン現地レポート】不動産・パブなど日常にも現れている「高級化の進行

政治的、経済的変動が続き、「イギリス」という国と人のアイデンティティを再確立する必要に迫られるイギリス。筆者は2008年経済危機にロンドンに住んでおり、15年ぶりにロンドンを訪れました。当時住んでいたブリクストン、ウェイトレスをしていたカムデンタウンは近年のロンドンの「高級化」を代表する街になっており、変化にたくさんの想いと考えを馳せました。

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高級化(Gentrification)が進むロンドン

“London is gentrified”というフレーズを、ロンドンにいた1週間で何度も聞きました。Gentrificationは「高級化」という意味で、かつては労働者階級の住宅街だった場所が、より高価な高級住宅街に変貌している事を指しています。

かつてはパンクロッカーの街だったカムデンタウン、カリビアンの街だったブリクストン、アーティストの街だったブリックレーンはRough、Punk、Outlaw、Edgyという形容詞が似合いましたが、今は別人のような顔をしています。

ネオンサインの光るBrixton
かつてクラブが並んだカムデンのInverness

綺麗で整備されている街並みではなかったけど、それぞれの街に独特の文化があり、その文化が大好きな似た者同士が集まる所がロンドンの魅力でもありました。このフレーズを使う人たちの声に昔を懐かしむセンチメンタルな寂しさを聴き取りました。

北澤のじ

実は最初はGentlified(Gentle + fied)と聞こえていて「優しくなったってことか~」と思ったのでした!しかし、Gentlifiedという言葉はないことに気が付き「Gentrified=高級化」と言われていることに気が付きました。いつまで経ってもLとRにこんな風に出し抜かれます。Gentli-fied, it also makes sense, right? この記事の最後で英語言葉遊びについてお話します。

ネイティブ表現をチェック! 形容詞+fied 「~になった」

さて、Gentrifiedという単語を元に、英語の言葉遊びのコツを学びましょう。

Gentrifiedは、Gentry (名詞:貴族)と-fy (接尾語、「~になる」)が合わさった単語です。これをもじってLondon is borified、と話す人がいました。
Borifiedは正しい単語ではありませんが 「“boring” (形容詞)+-fy」で「つまらなくなった」という意味を作り言葉遊びをしています。
以下の言葉は、そのルールに従って作った造語です。
Cuti-fied かわいくなった 
(Beautified「綺麗になった」は実際にある単語)
Gentli-fied やさしくなった
Touristi-fied 「観光地化した」

このように接尾語(suffix)や接頭語(prefix)をもじった言葉が使うのは、ネイティブスピーカーのよく使うジョークです。

都市開発と不動産の高騰、住む家がない

ロンドンは世界的な不動産投資の中心地となり、裕福な個人や企業が資産として不動産を購入しているために、不動産が高騰しています。外国人投資家が増加した理由は様々ですが、政府のインセンティブや2016年のBrexitによるポンドの暴落の影響は大きいようです。購入された高価格の不動産は賃貸による収入を得る目的の投資家もいれば、ホリデーハウスとして利用しながら価格が高騰するまで保持しておかれることもあります。結果、住める不動産が少なくなり、競争率が高くなるので賃貸の価格が上がります。

綺麗で豪華になったチャイナタウンとSOHO

ジェントリフィケーションが進むにつれ、労働者階級の家族や長年の地元コミュニティは、これらの地域に住む余裕がなくなり、移住させられる実態があります。これによって、地域が文化的、社会的に均質化され、多様性が失われるという声があります。

国勢調査2021

ブリティッシュ・パブでSheperd’s pieが見つからない

イギリスの文化と言えばパブで飲むパイントとパブ・フードは欠かせません。パイント、ハーフパイントはなくならないものの、クラフトビールがドラフト、エールに並んで置いてある所が多くありました。

パブ・フードは、伝統的なパイの代わりにバーガーを提供するお店が多く見受けられました。フィッシュアンドチップスはどのお店でも定番。これは世界で一世風靡する「バーガーブーム」が影響していること、多様化が進んでいることがありそうです。サンデー・ローストには変わらぬ支持があるようで、ローストチキンやローストビーフを提供するパブがたくさんありました。

北澤のじ

大好きなパブ・フードを食べるのを楽しみにしていたので、パブ・フードの変化には驚きました。観光のメッカであるカムデンタウン・マーケットに近いパブでさえ、見つけたパブ・フードはフィッシュアンドチップスのみ!伝統パブ・フードを未だに提供するお店ではピザやラップなどの「カフェメニュー」との両方を提供することがトレンドのようです。

ロンドン・メトロでOyster Cardが要らない

なによりも驚いたのは、メトロと電車を利用するのにOyster Cardを使わなくなったこと。クレジットカード、Google Walletなどを使ったタッチレス決済が各改札に導入され、事前に切符を買ったりオイスタカードをチャージする必要がなくなったのです。バスやZoneごとの一日乗車券も、同じカードを使い続ければ自動で計算されます。

2022年から開通したElizabeth lineは車両も新しく広くて快適。東西間の移動が速く、便利になりました。古い路線であるDistrict, Circle, Hammersmith & City, and Metropolitan lineでは信号システムの老朽化により遅延が問題となっていましたが、大幅に改善され運行状況が効率化されました。これらの路線にはエアコンのない電車もありましたが、「Sストック電車と」呼ばれる新しい電車に変わっています。

コロナの期間は休止していたメトロの夜間サービスは、2021年から再開しています。最後に、ロンドン交通局 (TFL)は車椅子を利用する人やお年寄りのための「Step-Free Access and Accessibility (段差のないアクセス)」にも過去10年間力を入れており、現時点で90駅以上のバリア・フリーのメトロ駅があります。

日本人もUK観光ビザの事前申請が必要になる

2024年10月現在では、日本パスポート保持者は入国時に最長6カ月のビザを取得することができます。宿泊する宿や出国の切符の提出が求められることはありますが、入国審査のカウンターはUK、EU市民と同じ「ファーストトラック」に並ぶことができます。しかし、2025年10月からは南米とアジア諸国を対象にオンライン事前申請が必要になる見込みです(参考:
The UK’s introduction of the Electronic Travel Authorisation Scheme (ETA)| DACbeachcroft

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まとめ

国際化が進むにつれてその国々の文化や伝統が失われ、世界が単一化していくのは仕方のないことですが、はやり寂しいことだと感じました。UKではロンドンではなく郊外に行くとパブ・フードも残っているようです。日本に置き換えて考えてみると、都市化が進んでいる所は他の先進国も驚くような最新技術がある所がユニークではあると感じます。しかし日本を2回目、3回目に訪問する外国人旅行者が魅力的だと感じるような街並みや伝統芸能、伝統技術を保存することが大切だと思いました。

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