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2024年パリオリンピックがついに開催しました。メディア関係者としてパリで働く筆者の現地レポートを連載でお届けします。オリンピックに対する盛り上がりは勿論、文化的、歴史的、そして近代的なフランスという国がどういう所なのかをこの記事に盛り込んでいきます。
PARIS 2024、What’s New?新しいパリ
フランスのパリで開催される今夏のオリンピックの開会式はあと残す所僅かとなりました。エッフェル塔には5輪のシンボルが、凱旋門にはパラリンピックのシンボルが掲げられています。シャンゼリゼ通りの街頭の一つ一つには”PARIS 2024” の垂れ幕がかかり、歴史のある建造物やホテルにもサインがはためいて、街中がオリンピックモードに染まっています。この世界の一大イベントへの費用は約90億ユーロ(約1.55兆円)。パリの街は今どのように変わっているのでしょうか。
東京2020で日本がオリンピックに投資したのは1.4~1.7兆円といわれています。パリの街はこの投資をでどのように変化しているのでしょうか?
メトロに68の駅を追加
パリは、今夏のオリンピックでブレークダンスやカヤックの新競技を含めた32種目、10,500人のアスリートをホストすることになります。競技場の数は全部で35か所。ボルドー、リオン、マルセイユなどの数百キロ離れた場所でも競技が行われますが、その殆どの競技はパリ市内で開催されます。メトロは一日200万人の利用客を見込んでおり、これに向けて同市はメトロに新しく4つの路線を追加しました。更に、延長された2つの路線を加えると、メトロの路線は合計で約200㎞延長され、68駅が新たに追加されています。
セーヌ河が競技場に!
PARIS 2024開会式が行われるのはパリを中心から2分するセーヌ河。開会式がスタジアム以外で行われるのは、夏季オリンピック至上初めてのことです。10,500人の選手はボートに乗ってセーヌ河6㎞のパレード・クルーズをします。パレードはオーステルリッツ橋から始まり、エッフェル塔から河を渡った所にあるトロカデロ広場に到着します。河の両岸、橋の上にも観客席が設けられ、橋の周りでは休みなく工事が行われています。
開会式に加えて、トライアスロンや野外水泳競技もセーヌ河で開催することに。競技は、パリ市内を流れるセーヌ河のど真ん中、アレクサンドル 3 世橋からレースを開始します。普段は観光客を乗せるクルーズ船が行き交うセーヌ川で選手が泳ぐという斬新なアイデアは、パリジャンをも驚かせているようです。
セキュリティーを最高レベルに強化
世界情勢を考慮し、フランス政府はセキュリティーを最高レベルに上げて警備体制を整えています。オリンピック開催中は、約4.5万人のフランス警察と治安部隊がパリの警備にあたるほか、数千人の外国治安当局者も加わります。また、開会式会場には3.5万人の治安部隊と軍隊を派遣する計画です。
パリの体験、生レポート。パリってどんな所?
オリンピックのメディアスタッフとして働く筆者は、現在パリに入って20日近くが経ちました。街全体が大きな美術館のようなパリの中心地は何度訪れても目を奪われます。そのパリで働く人、パリを旅する人、パリの食べ物や交通、物価など、「パリの今」について短くまとめました。
テクノロジーと近代化
クレジットカードをどこでも使うことができます。日本では郵便局での支払いや、Suicaのチャージ等、現金を携帯する必要がある場合がありますが、パリでは現金は全くと言って良いほど必要ありません。バスの乗車時も、運賃をクレジットカードで支払うことができるのには驚きました。ただ、クレジットカード会社はVISAのみを扱う所も多いようです。
アプリで起動するレンタサイクルが流行しています。自転車専用レーンが街中にまんべんなく作られているので割と安全に乗ることができますが、バス・タクシー専用レーンと自転車用レーンが共通の所は注意が必要です。また、年間契約、各月払いのレンタサイクルが普及しています。その場合でも、アプリで空いている自転車を見つけて乗り、目的地に着いたら「乗り捨てる」というタイプのものです。
キックボードもよく見かけますが、こちらのレンタルはありません。2018年に市当局が導入しましたが、2023年の市民投票で廃止になりました。2022年の電動キックボード事故は死亡者3名、負傷者は459名があり、キックボードレンタルに反対したのは投票者の90%でした (Gardian)。ただし、レンタルでなく所持をしていれば乗ることは違法ではありません。また、マルセイユなど他の都市ではレンタルもあります。
エスカレーターとエレベーターがない地下鉄駅がほとんど。住宅地も階段しかない所が多くあります。理由は、建築物の古さ。大型のスーツケースを必死で運ぶ女性の姿をよく目にします。「フランス人の男性は女性に優しいんじゃないの?」と思った方がいるかもしれません。それは本当ですが(?)「自分の責任は自分で取る」という個人主義のフランスらしい風潮かもしれません。
エコロジー
リサイクル、サステナビリティに対する意識が高いと感じます。テイクアウェイボックスはポリスチレンではなく紙を、フォークやスプーンはプラスチックではなく木のものを利用するのが一般的です。ビニール袋の削減も徹底されています。野菜がビニール袋に入って売られていることは殆どなく、量り売りが主流。その図った野菜や果物を入れるのは紙の袋で、レジで売られている袋も紙の手提げ袋です。
EV、PHEVの普及に対してマクロン大統領は次々と新しい政策を掲げています。2024年には、新しい電気自動車を購入する際の補助金は4,000ユーロ。さらに世帯員1人あたりの年間収入が15,400ユーロ未満の場合はさらに3,000ユーロが加算されます。路上駐車場にEV充電スタンドが置いてあるのも、パリ市内各地で目にします。
日本は未来の国のようにテクノロジーが進んでいるところもあれば、現金主義で紙の資料を使うなど、不思議に近代化されていないシステムがありますよね。きっとフランスにも長く住むと、近代から取り残されているところも見えてくるはず。ビルがアパートが古いので水漏れが多く、ホテルの部屋で雨漏り!というのは私も実際に体験しました。
まとめ
パリも東京も世界を代表するコスモポリタンな大都市という点で共通していますが、パリの歴史的建造物の多さ、24時間営業の店のなさ、電飾・高層ビルの少なさ、面積の小ささ(大体山手線エリアの大きさ)などが違い、雰囲気が全然違います。ホテルで夜中にお腹が空いた時にコンビニが恋しくなることもありますが、近代的だけど便利すぎないパリはとても過ごしやすい所です。これから何度かに分けて、今回はお伝え出来なかったフランスとパリの今についてレポートします。ご拝読ありがとうございました!
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パリは世界一観光客の多い街。オリンピック効果で記録的な観光客の訪問数を達成することでしょう。7月14日のフランス独立記念日は、聖火リレーも開催され、街はどうなることかと思っていましたが、道路とメトロの交通規制が粛々と行われ、イベントは大きな問題なく成功に終わりました。