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こんにちは、現役通訳者のじです。オリンピック開催地のパリからこの記事をお届けしています。オリンピック開会式がセーヌ河で行われた7月26日、私はシャンゼリゼ通りのアイリッシュパブでセレモニーを観ていました。
「JAPAN!」と呼ばれて日本人アスリートの船が画面に映った時「Whooooo!」と大きな歓声が上がりました。フランスでの日本の知名度は高く、皆さん友好的に思っていることがここからもわかります。
私が1か月半ほどフランスに滞在して感じた「日本の位置」をご紹介します。
フランス人は日本がお好き?
開会式の日はまさに「嵐の前の静けさ」、シャンゼリゼ通りも、モンパルナスタワーも不気味なほど空っぽでした。バスサービスは全てストップ、2つのメトロ路線が完全に閉鎖、各ラインでいくつかの駅が閉鎖されていましたが、お店やレストランは普通に営業していました。
ギフトを買うために入ったワイン屋さんの店員さんに「今日はどこで開会式を観るの?」と聞くと「自分の家。友達を呼んで餃子パーティーするから、今も自分の彼女が餃子を作ってるとこ~」と言う返事が返って来ました。私は日本人だと言うと、「I love Japan!!! 」と言ってくれました。彼は日本に行ったことがあり、日本の食・文化・マンガが好きだということでした。
「日本に行きたい」という人に「なぜ日本に行きたいのか」聞いてみても、大体同じ回答が返ってきます。では「日本の」どんな「食・文化・マンガ」がフランス人に受け入れられているのか、細かく見ていきましょう。
フランスで受け入れられている日本の「食」
キッコーマンのお醤油、味噌、日本米などが大きいスーパーで簡単に手に入ります。パリにある日本人経営の日本食レストランは数えきれないほどありますし、外国人経営のお寿司屋さんも入れるとピザ屋と同じくらいあるかもしれません。
お寿司
一つの区に最低でも3つはお寿司を提供するお店がありそうです。その多くはいわゆる「California Rolls」のような、カラフルな野菜やソースを使ったメニューが主体です。価格は€8~10、で巻き寿司一本 (切り分けた状態で8つ) くらい。お店の名前が日本の地名だったり、日本人の苗字だったりして、「どういう事が日本らしいと感じるのか」を考えるのが楽しいです。スーパーのお弁当としても、お寿司がチーズの隣に並んでいることがあります。
地元の人たちが「あそこは日本人の経営しているレストランだよ」と教えてくれることがよくあります。日本人の経営するレストランではお寿司に使う魚の種類が多く、盛り付けも日本らしいです。日本食レストランの他にからあげ専門店、ラーメン屋などもあります。フランス人でも日本人の料理とそうでない料理を知っている人がいるのは嬉しいですね。
おにぎり
おにぎりがどれだけパリジャンに親しまれているかということにはびっくりしました!駅の近くのスーパーでおにぎりを見ることは珍しくありません。照り焼きビーフ、アボガドセサミ、アボガドベーコンなどを €3.9 (約650円) ~で買うことができます。 フランス人が日本のコンビニに来たら、味のバラエティ、美味しい海苔とお米、それに値段にびっくりするはず。
ランチタイムに大行列ができるのは、ルーブル美術館があるマレ地区のRoyal とRépublique支店があるOMUSUBI GONBEI。日本では、東京、埼玉、千葉、神奈川に、アメリカではニューヨークに支店のある「おむすび権兵衛」。麦を精製された小麦粉は身体によくないので、できるだけお米やジャガイモなどを炭水化物にしようという世界の “health conscious” の流れに乗ったこともあり、パリでは見ることが珍しい「行列ができる店」となっています。
ラーメン
ラーメン屋は街中にそれほど多くありませんが、カップ麺やインスタントラーメンは人気のようです。日本ブランドでないカップ麺は「Teppanyaki Flavour」とか、日本人では思いつかないような風味があります(麺もスープの味も悪くない!と日本人スタッフのお墨付きをもらっていました)。先日、近所の駅のキオスクでは、日清カップヌードルの「鴨のロースト味」、「胡椒と胡麻味」、バラエティに富んだ出前一丁を見つけました。
フランスで受け入れられている日本の「文化」
日本食がここまで親しまれている理由には、日本に行ったことがある人が増えているからかもしれません。2024年の訪日外国人数を見ると上位を占めるのは日本の近隣にあるアジア諸国ですが、ヨーロッパの中ではフランスはイギリスに次ぐ第二位の訪問数となっています。
長期滞在者の割合は、全国籍でトップです。2023年第3四半期(7~9月期)のデータでは2週間以上の滞在が全体の65.5%を占めています。3週間以上滞在した人も26.8%おり、訪日フランス人の多くがまとまった期間を旅行にあてていることがわかります。
初めての日本旅行で訪問するのは東京、京都、大阪。スキーが好きな人で北海道に行った、という方にも何人か会いました。「人がとても優しかった」「もう一度日本に行きたい」とほとんど全員が言ってくれましたが、「次は田舎に行って伝統的な日本を体験したい」という声も多くありました。今は円安が始まったばかりで日本旅行初めての人がたくさんいますが、2回目の訪問でどんな日本を見せられるのか?が日本の観光業の次の課題となりそうです。
フランスで受け入れられている日本の「マンガ」
今年7月11日から14日まで開催されたJapan Expo 。「最新のマンガやアニメのリリース情報を入手し、新しい作品を発見し、お気に入りのアーティストに出会えるフェスティバル」がテーマのこの展示会に、4日間のプログラムを通して21.5万人が訪れました。フェスティバルでは20 社以上の出版社と 40 名以上の作家が参加。「 Dark Souls Redemption」などの今後リリースされるマンガ紹介したり、古典作品のコレクションを完成させることができるレアな機会としてもファンを喜ばせました。
コスプレ・コンペティションも行われたので、参加者の多くはアニメキャラクターのコスプレで来場し、展示会の雰囲気を盛り上げていた様子が公式Youtubeビデオやウェブサイトから伺えます。プログラムにはお酒の紹介、着物とダンス、弓道、合気道など日本の伝統文化を紹介するものもたくさんありました。
アニメだけでなく、日本文学も本好きのフランス人から人気があります。三島由紀夫や川端康成、夏目漱石、紫式部、村上春樹などの世界的に有名な純文学は、パリのどの本屋に行ってもフランス語に翻訳されたものが置いてあります。コンテンポラリーなものは岸見一郎の「嫌われる勇気」、2020年に太宰治賞を受賞した八木詠美の「空芯手帳」(仏名 Journal d’un vide)などがありました。
まとめ
フランスで日本が人気が高いということを、こちらに暫く滞在して分かりましたが、「日本人ですよね?」「私は日本語が話せます」と話しかけられたことは1、2回しかありません。それは、フランス人は意外にシャイだからということが自分からアプローチするとオープンに話してくれるので、フランスに来たら是非積極的に話しかけてみてください。「そうは言っても、フランス人は英語で話かけられると嫌がるって良く聞くけど?」「フランス人って英語話せるの?」そんな皆さんの疑問には、次回の記事で真相をご紹介致します。
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餃子パーティーをしている人に会うとは、本当に驚きました。フランス人は新しいものに対してオープンで自分の文化と違う日本食、アジア料理のバラエティを楽しんでいるようです。元フランス植民地であったベトナムやモロッコの食文化もあちこちに見られます。