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発表会・展示会・セミナーなどのイベントから、商談・会議などの開催は、インターネットを通じオンラインで実施することが可能になりました。
海外企業・外国人と関わるのに必要な通訳もオンラインでできる選択肢も広がり、その中にRSI通訳があります。
この記事ではRSI通訳の特徴、オンライン通訳のメリット、準備・実施方法、注意点について解説します。


RSI(遠隔同時通訳)とは?定義と従来の通訳との違い
RSIとは「Remote Simultaneous Interpretation」の略で遠隔同時通訳の意味を持つオンライン(リモート)で同時通訳ができるシステムです。


参加者・通訳者ともにインターネット上で出席するので場所を問わずに同時通訳を利用することができます。
現地通訳との違い、参加者・通訳者が移動する必要はなく、会場の機材・ブースを用意する必要もありません。
移動費や機材レンタル費が発生せず大幅なコストカットが可能で、大規模イベントや遠方での開催によって行くことが難しいイベント・会議もオンラインで参加できるため、近年需要が高くなっています。
RSIの特徴
RSIとは、Remote Simultaneous Interpretation(リモート・サイマルテイニアス・インタープリテーション)の略称で、日本語では遠隔同時通訳と呼ばれます。
これは、通訳者が話者や参加者と同じ場所にいる必要がなく、インターネット回線と専用のシステム(またはWeb会議ツール)を介して、離れた場所からリアルタイムで同時通訳を提供する仕組みです。
RSIの核となるのは、「地理的な制約の解消」です。従来の同時通訳が必須としていた、会場での通訳ブースや専用の音響・受信機材、そして通訳者の現地への移動が不要となるため、近年、国際会議やウェビナー、商談などで急速に普及しています。
RSIは、主に以下の3つの要素で構成されます。
- 話者: 発言内容が音声としてシステムに入力される。
- RSIプラットフォーム/システム: 音声を瞬時に通訳者へ、そして通訳された音声を参加者へ振り分ける役割を担う。
- 通訳者・参加者: 安定したインターネット環境とデバイス(PC、スマートフォンなど)を通じて、場所を問わずサービスを利用する。
従来の「現地通訳」との比較表
RSIのメリットがより明確になるよう、従来の現地通訳(オンサイト)と比較してみましょう。特にコスト面と手配の自由度に大きな違いがあります。
| 比較項目 | RSI(遠隔同時通訳) | 現地通訳(オンサイト) |
| 場所の制約 | なし。 参加者・通訳者ともにインターネット環境があれば場所を問わない。 | あり。 通訳者・参加者ともに指定の会場に集まる必要がある。 |
| コスト | 低コスト。 通訳者の移動費・宿泊費、専用機材のレンタル費などが一切発生しない。 | 高コスト。 通訳者の移動費・宿泊費、通訳ブースや受信機材のレンタル・設置費用が発生する。 |
| 必要な機材 | PC・タブレット、ヘッドセット、安定したインターネット環境(専用システムまたはWeb会議ツール)。 | 専用機材必須。 通訳ブース(同時通訳用)、マイク、トランスミッター、参加者用レシーバーなど。 |
| 通訳者の手配 | 柔軟性が高い。 世界中の通訳者から最適な人材を選定・アサイン可能。 | 会場への移動が可能な通訳者に限定されやすく、人材選定の自由度が低い。 |
| 準備の手間 | 少ない。 専用の機材設営やブース設置が不要。主にシステムの設定確認が中心。 | 多い。 会場の選定、ブースの設営、機材搬入、音響テストなど手間がかかる。 |
| 通信の安定性 | インターネット環境に依存。 回線状況が悪いと音声途切れなどのリスクがある。 | 非常に安定。 専用の有線機材を使用するため、通信トラブルは少ない。 |
このように、RSIは機材や場所の制約を受けないため、コストの大幅な削減とスピーディーな通訳者アサインを可能にします。
特に、頻繁に開催されるWeb会議や国際ウェビナーにおいて、費用と準備の手間を劇的に軽減できる点が最大のメリットです。ただし、通信環境への依存という大きな注意点があるため、次のセクションでRSI導入のメリットとデメリットをより詳細に解説します。
RSIの「仕組み」と実施に必要な機材・環境
遠隔同時通訳(RSI)の最大の特徴は、場所を問わずに高品質な通訳サービスを提供できる点です。これを実現するためには、特定の仕組みと環境の準備が不可欠です。
RSI通訳のフロー(参加者・通訳者・システムの役割)
RSIは、以下の図に示すように、話者、システム、通訳者、参加者の4つの要素がインターネット上で連携することで成立しています。
- 話者(発表者): 発言者がWeb会議ツールやRSIシステムを通じて発言します。
- RSIプラットフォーム/システム: 話者の音声がインターネットを介してシステムに取り込まれ、瞬時に遠隔地にいる通訳者へ送信されます。
- 通訳者(翻訳者): 通訳者は、システムから送られてきた音声を聞き取り、リアルタイムで別の言語に訳し、再びシステムへ送り返します。
- 参加者(聴講者): 参加者は、自身のデバイス上で聞きたい言語(オリジナル言語または通訳言語)を選択することで、通訳された音声をリアルタイムで聞くことができます。
この一連のフローは、わずか0.5秒〜数秒の遅延で進行するため、従来の同時通訳と遜色ないスピード感で会議を進行できます。
必須の機材
- パソコン・タブレット・スマートフォンなどのデバイス
- マイク
- ヘッドセット
- RSIプラットフォーム
RSIをスムーズに実施するために、特別な会場機材は不要ですが、個々のデバイスと環境を整える必要があります。
| 利用者 | 必須の機材 | 補足・推奨事項 |
| 通訳者 | 高性能なPC、業務用ヘッドセット(マイク一体型)、RSI専用ツールへのアクセス | 通訳の質を担保するため、ノイズキャンセリング機能付きのマイク、有線接続の機器の使用を推奨します。 |
| 話者・参加者 | PC、タブレット、またはスマートフォン、マイク(話者のみ)、ヘッドホンまたはイヤホン | スマートフォンでの参加も可能ですが、画面共有や資料確認のためにPCの使用が理想的です。必ずイヤホンを使用し、ハウリングを防ぎましょう。 |
| 主催者側 | RSIプラットフォーム(Interprefyなどの専用ツール)またはWeb会議ツール(Zoom、Teamsなど) | どちらのツールを選ぶかで、準備の複雑さやコストが大きく変わります。(詳細は「5. 【重要】専用RSIシステムは本当に必要?」で解説します) |
失敗しないための通信環境の推奨スペック
RSIの唯一の弱点は、インターネット環境に左右されることです。通信が不安定だと、音声の途切れや遅延が発生し、会議の品質が著しく低下します。
- 有線接続の徹底: 通訳者、そして話者は、可能な限りWi-Fiではなく有線LANケーブルを使ってインターネットに接続してください。これにより、通信の安定性が格段に向上します。
- 推奨回線速度: 最低でもダウンロード/アップロードともに10Mbps以上を推奨します。事前に、使用予定の場所で速度テストを行いましょう。
- 通信の確保: 家族や他の利用者が同じ回線で動画視聴や大容量のダウンロードをしないよう、会議時間中は回線を占有することが望ましいです。
これらの仕組みと準備を理解し、環境を整えることが、RSIを成功させるための最初のステップとなります。
RSI(遠隔同時通訳)導入のメリットと費用対効果


RSI(遠隔同時通訳)の導入は、従来の現地通訳と比較して、主にコストと柔軟性において大きなメリットをもたらします。ここでは、特に重要な4つのメリットと、具体的な費用対効果について解説します。
コスト削減
RSI導入の最大の利点は、イベント・会議費用の大幅な削減です。
現地通訳では必須だった以下の費用が一切発生しなくなるため、全体の通訳コストを従来の30%〜50%程度に抑えられるケースが多く見られます。
- 通訳者の移動費・宿泊費: 遠方や海外の通訳者をアサインする場合に発生していた費用。
- 専用機材のレンタル費: 会場に設置する高額な通訳ブース、音響機材、参加者用レシーバーなどのレンタル・設営費。
- 会場費の一部: 通訳ブースを設置するための特別なスペース確保費用。
通訳者に依頼しやすくなる
物理的な移動が不要になることで、通訳者の手配における地理的な制約が完全に解消されます。
- 専門性の高い人材の確保: 国内だけでなく世界中にいる、特定の分野(医療、IT、金融など)に特化した最適な通訳者を容易にアサインできます。
- マイナー言語への対応: 需要が少なく現地で見つけにくいマイナー言語の通訳者も、遠隔地から迅速に手配できます。
- 時差を活用した対応: 長時間のイベントや、異なるタイムゾーンをまたぐ国際会議の場合、各タイムゾーンの通訳者をリレー形式で活用できるため、通訳者の負担軽減と高品質の維持につながります。
参加場所が自由
通訳を利用する参加者側にとっても大きな利便性があります。
- 参加機会の増加: 遠隔地からの参加が可能になるため、移動時間や費用を気にせず、より多くの人がイベントや会議に参加できます。大規模な国際ウェビナーにおいて集客数の向上に貢献します。
- 手軽な操作性: 参加者は、PCやスマートフォンでアプリやウェブブラウザを開き、聞きたい言語を選択するだけで通訳音声を聴取できます。
準備・手配のスピード化とイベント回数の増加
専用機材の搬入・設営が不要となることで、イベント開催までの準備期間が大幅に短縮されます。
これにより、これまで費用や手間の問題で開催が難しかった、小規模な商談、社内研修、頻繁な定例会議などにも通訳を導入できるようになり、海外とのコミュニケーション頻度を増やしやすくなります。
RSI通訳の注意点
RSI通訳は、インターネット環境さえあればどこでも実施することができますが、通信回線の安定・安全性には注意しておく必要があります。
通信速度が遅かったり、通信回線が安定していないと途中で止まったり、音声が途切れて聞こえづらくなります。



ポケットWi-Fiではなく、有線回線で各デバイスに接続することが理想的です!無線回線を使用する場合は、事前に繋がりにくい時間、ネット通信速度を把握しておきましょう!
オンライン通訳の実施はRSI通訳を使わなければいけない?


RSI通訳はアプリ(ツール)を利用して通訳を行うシステムですが、どこでも通訳ができるオンライン通訳自体は利用ツールに制限はありません。
ZoomやMicrosoft Teamsなど、自社で導入している会議ツールを活用してオンライン商談・会議・イベントを実施することも可能です。
Web会議ツールを使った同時通訳の実施方法・設定方法などは下記の記事で詳しく解説しています。ぜひご覧ください。
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オンライン通訳サービスOCiETeなら、RSIシステムを使わずにオンライン同時通訳の実施ができます。


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まとめ
この記事では、RSI通訳で必要になる準備物やオンライン(リモート)通訳の特徴・注意点について解説しました。ここでのポイントは以下の通りです。
インターネット環境さえ整っていれば、質の高い通訳をどこでも、そしてコスト抑えて実施できるオンライン(リモート)通訳。
今後海外企業・外国人との関わり持つ事業を展開される方、すでに通訳が必要な方はお気軽にお問い合わせください。
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この記事を読めば、オンライン(リモート)通訳を活用すべきシーンや導入前に気をつけるべきポイントについて知ることができます。ぜひ最後までご覧ください!