日本のビジネス界では挨拶もそぞろに仕事の話を始めることもしばしば、前日に体調不良で早退した場合は別として「元気?」と聞くことは常識的とは言えないでしょう。「元気?」と聞くのはむしろ友人同士、または仕事上の付き合い以上に親しい関係。それもしばらく会っていない人同士、という気がします。
“How are you?”の使い方
まずは”How are you?”の使い方について、相手との関係性による変化や、”How are you?”以外の表現について解説していきます。
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毎日同じ人に”How are you?”と聞いてもいい?
英語文化では、毎日同じ人にHow are you?と聞くことは普通です。一緒に住む家族やハウスメートにも、その日初めて顔を合わせた人は誰でもHow are you?と聞くのが正解です。
会社のボスやクライアントなど、ビジネスの場面でも同じように”How are you?”と聞くことができます。
相手によって”How are you?”の言い方は変えた方が良い?
How are you?は誰に対しても使うことができますが、目上の人や面識のない相手に使うことを躊躇するかもしれません。その場合に使えるのは、文章の最後にsir(男性)/ma’am、を付けたり、相手の名前を呼ぶことです。
- How are you, sir?
- How are you, ma’am?
- How are you, Mr. Wilson?
また、How are you today/this morning/this evening? というように、最後に何かを付けるとフォーマルな印象を持たれるようです。ホテルや高級なレストランでは上記のように声を掛けられることが一般的です。
ちなみに、“How do you do?”という表現を聞いたことがあるかもしれませんが、これは殆ど使われません。皇室の人への挨拶にしか使わない、というくらいフォーマルな形式なので、目上の人でもこの表現は使わない方が自然でしょう。
“How are you?”の別の言い方は?
文化と関係の深さによってHow are you?の聞き方は何通りにも変化します。普段私の周りで使われるHow are you?の種類をざっとご紹介します。どれもカジュアルな表現ですが、同僚に対しても頻繁に使われる表現です。日本語訳は、シチュエーションを表すためのニュアンス的な訳です。
- How are you doing? (どうしてる?)
- How’s it going? (どうしてる?調子どう?)*上記よりややカジュアル
- How’s things? (調子どう?最近どう?)
- Are you alright? (元気?大丈夫?)
- What’s up? (最近どう?)
- What’s happening? (どうしてる?)

文化の違いとして、How are you? という挨拶が一般的かどうか、という点以外に「同僚にどこまで砕けた話し方をするか」という違いもあります。日本文化では同年に入社した「同期」は自分と同等、それ以外は上司・先輩か部下・後輩に分かれる場合が多いので「先輩に話す敬語」と「部下に話す言葉」と使い分けがされているのを目にします。英語文化では、相手によってそういった使い分けをせず、全て「同期に話す言葉」で話すことも稀でない、と考えると分かりやすいかもしれません。
”How are you?”への答え方
続いて、”How are you?”と聞かれた場合の答え方について、返答例や、対応する際の心がけについてご紹介します。
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”How are you?”への返答バリエーション
学校で習う英語では、I’m fine, and you? と習いました。「この表現では中学校英語で恥ずかしいのでは」という質問を何度か受けたことがありますが、これで全く問題はありません。しかし、自分らしさを出し、次につながる会話を期待するのであれば、バリエーションを知っておきたいもの。こちらも私の周りでよく使われる回答をご紹介します。
- I’m well, and you? (元気です。あなたは?) *ややフォーマル
- I’m good, how are you? (良いよ。元気ですか?) *ややカジュアル
- I’m alright. How are you doing? (大丈夫です。どうですか?) *カジュアル
- Not too bad. Yourself? (悪くありません。あなたは?) *イギリス系に多く見られる返答
- Can’t complain. How are you doing? (文句はありません。元気ですか?)*ダッチ系南アフリカ人が良く使う表現
- I’m always good. Is everything okay with you? (私はいつも元気です。あなたは大丈夫ですか?)



南アフリカには11の公用語があり、様々な文化背景があることから、返答も多様です。上記のイギリス系、ダッチ系の返答から読みとれるように、文化によって特殊な答え方があるので、それを使って「ローカル通」をアピールするのも相手との距離を縮めるための一手です。
“How are you?”にはどれくらい正直に答えるべき?
いつも「元気です」と答えなければいけないのか、それともいつも「元気です」では、誠意のない人と思われてしまうのか、日本人としては悩ましい所です。どのように答えても構わないのですが、一般論をまとめます。
相手に何かアクションを起こしてもらいたい時以外は「元気です」と答えてOK。
私の経験では、ほとんどの人が体調が思わしくなくても「I’m fine」と答える印象です。I’m fine、は必ずしも「元気」ではなく、「大丈夫」、「やっていける」というニュアンスもあるという理由からかもしれません。
ひとまず、いつも通りの挨拶を繰り返してから「実は昨日熱があって…」などの世間話に入ることは、よくあります。しかし、「I’m not fine」「I’m sick」と答える人はあまりいない印象です。
いつも同じフレーズで返しても大丈夫。
あなたがいつもどう答えているか、そう気にしている人はむしろいないでしょう。いつもと同じ回答が返ってくることによって、いつも通りなのだと判断する安心感もあるのかもしれません。それより何より、毎朝会社で何十回も「How are you?」の挨拶を繰り返すので、回答をあまり重要視していないという実態もありそうです。
相手によって回答を変える必要はありません。
前述の通り、日本語と違って敬語の概念が薄いのが英語ですので、相手によって回答を変える必要はありません。気になる方は、上記でご紹介したHow are you?の答え方のニュアンスをご参考ください。ホテルの接客など、フォーマルなやり取りが求められる場合は会社の規則に習うか、または同僚の返答を参考にすると良いでしょう。
大事なのは、”How are you?”の後
さて、これまではHow are you?の挨拶をご紹介しましたが、これは会話のスターターであり、メインではありません。実際の会話が始まる前のウォームアップ、または会話をするためのきっかけ、と考えると良いでしょう。なので、挨拶だけで終わるのではなく、その後にどんな気の利いたことを言えるか?が勝負になります。
天気の話、前日のスポーツの話、ネクタイについてのコメント、などが一般的ですが、そういった話のネタを用意しておくと「話やすい、きさくな人」という印象が付きやすく、オフィスでのコミュニケーションが円滑になります。
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まとめ
How are you?の挨拶について、あまり気にする必要はないという自信を持ってもらえたのではないかと思います。上記の通り、How are you?の後に会話を続けること、会話がなかったとしてもGood morning以上の挨拶をする、という前向きなコミュニケーションが鍵です。英語文化の人は「話しかけられて嫌だ」「挨拶に時間を取られて迷惑」という気持ちがない、と信じる所から始めましょう。そしてできれば、How are you?の後の会話を膨らませるように心がける事をお勧します。「飲みニケーション」のない英語文化では、大事な会話のチャンスがHow are you?に込められていそうです。
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