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北澤のじ
歴史と文化と自由に興味を持ち、ヨガとキャンプとお酒を愛するDigital Nomad。通年20年、50か国以上での海外経験があり、南アフリカの市場調査、フリーランス通訳、英語塾経営を通して日本企業の海外進出、日本のグローバル化を応援しています。 通訳としては、社内通訳7年、フリーランス通訳8年の経験があります。20代にバックパッカーで世界を旅行していたら英語脳が作られ、大企業で同時通訳をさせてもらえるようになりました。アフリカ英語塾の塾長としてアフリカの講師と一緒に英語を教え、誰でも英語が喋れるようになることを伝えています。
海外を飛び回り買い付けをする仕事(バイヤー)を魅力的だと感じる人は多いのではないでしょうか。そんなビジネスを思い描いて起業される方は、買い付けに必要な英語を勉強されているでしょう。海外の企業から買い付けをする場合には、商談や交渉を正確に行える英語力を養う必要がありますが、この記事では感じの良い言葉使いで相手に好印象を与え、交渉を上手く成立させるためのコツをご紹介致します。
海外でのコミュニケーションの「普通」
私は1年の半分以上を海外で過ごすのですが、日本に帰って来ると強いカルチャーショックを感じます。いつも決まって一番初めに感じるのはコミュニケーションの方法で「目を合わせない」、「表情がない」ことに「冷たい」と感じてしまいます。宗教色の強い文化では外国人を警戒するような風潮も見られますが、英語文化のコミュニケーションでは、以下のマナーが当たり前です。
- 人の目を見る
- 笑顔を見せる
- 挨拶する
- スモールトークをする
- 労りの言葉をかける
まずは目を合わせてスモールトークを
日本では人の顔を見ることが失礼とされるため、人と目が合ったらすぐに目を逸らす傾向にあります。知らない人に笑顔を向けるなんて「変な人」とも思われかねず、挨拶をしようものなら、嫌な顔をして逃げて行く人もいます。お酒を飲む場でないかぎり、出会ったばかりの人とスモールトークまで行きつけることはほとんどありません。
英語文化では、スーパーのレジなどで長い間並んでいる時に、隣の人と話をはじめるケースが多くあります。キャンプ場や観光地など、レジャーのシーンではよりフレンドリーになり、たくさんの人と話す機会があります。英語力の高さの前に、まずは海外で「普通」のコミュニケーションを身に付け、買い付けに望みたいものです。
買い付けに必要な英語〜ストリート編〜
物価と賃金の安い東南アジアやインド、ヨーロッパの蚤の市、南米の僻地など、様々な場所があります。しかし、ここに挙げたような場所では英語が母国語でないため、格式の高い英語はほとんど必要ないでしょう。しかし、巧みに英語を話せないためにシンプルな表現しかしなければ「えぇ?高い!」「そんなにするの?」「安くしてよ。」など、失礼な言い方になることは避けたいですね。まずは丁寧な話し方をすることを、心がけてみてください。
“How much?”の代わりに何て言う?
観光地でお土産を買う時に”How much is this?”と聞くのは全く問題ありません。しかし相手がこちらをバイヤーとして認識しているのであれば、もう少しプロフェッショナルな聞き方をしたいところです。その場合には、こんなバリエーションがあります。
What’s the price of this item?
この商品の価格はいくらですか?
How much are you asking for this item?
この商品はいくらで売っているのですか?
Priceはお客さんがお店で買う値段、Costは仕入れ値や輸送などを含めた会社の経費になります。なので、How much is the cost? と店頭で聞くと、その店舗の儲けを差し引いた値段を聞いていると思われる可能性があります。
“Too expensive”の代わりに何て言う?
提示した値段に対して「高すぎる」と言われるのは気分の良いものではありません。わざと高い値段を提示している場合に言われたのであればまだしも、コストを計算した後でつけた値段についてそう言われたのであれば「ケチをつけている」と気分を悪くされてしまいます。そう思われることなく気持ちを表現するには、このような言い方があります。
It’s out of my budget.
私の予算を超えています。
I cannot afford it.
(購入する)余裕がありません。
友人同士の会話で”This item was cheap!”と話し合うことは問題ありませんが、お店の人との会話としては違和感があります。”That’s reasonable”を代わりに使うと良いでしょう。また、Cheapは「安もの」という意味の単語でもあるので注意しましょう。
“Discount, please?”の代わりに何て言う?
バイヤーにとって値段交渉は最も大事なスキルのうちのひとつです。スマートな言い方で快く良い値段をつけてもらいましょう。
What is the wholesale price?
まとめ買いするといくらになりますか?
What is the price for 200 units?
200個買うといくらになりますか?
「値下げ」はDiscountとon saleを使います。「この商品はセール中ですか?」だと、Is this on discount? または、Is this on sale? どちらも同じ意味になります。
買い付けに必要な英語〜ドキュメント編〜
買い付けの後に必要になるのは、書類のやり取りや事務手続きです。正確でスムーズな取引ができるように、基本的な用語と使い方を覚えておきましょう。
Invoice/Receipts/Payment
順に「Invoice:請求書」、「Receipts:領収書」、「Payment:支払い」という意味です。請求書に”Payment due date”が必ず記載されていますが、これは「支払い締切日」のことで、Payment dueとだけ略して言うことが多くあります。
Billing address/Shipping address
「Billing address:配送先住所」と「Shipping address:請求先住所」のことです。配送先住所は商品を受け取る場所、請求先住所は普通クレジットカードに登録されている住所を記載します。両方の住所が同じ場合は”Same as the billing (shipping) address”の記載で問題ありません。ちなみにZip Codeは郵便番号のことです。普通は、住所の最後に記載します。
Logistics/Shipping/Airfreight
海外からの「Logistics:物流」の方法には空輸と海運の2通りがありますが、上記のShipping addressのようにどちらも「Shipping:海運・空輸」という言葉を使うことがあります。それに対して空輸の場合は「Airfreight:空輸」を使い分けます。
まとめ
同じ意味でも言い方を変えるだけで印象が随分変わること、お気づきいただけたでしょうか? 英語が得意でなくても、相手が受ける印象をよく考えて丁寧に話すように心がければ、お互いに気持ちの良いコミュニケーションを取ることができるはずです。皆さんの買い付けの成功を応援しております。
買い付けのために海外に出かける時のコミュニケーション方法。まずは、英語のセンテンスを学ぶ前に心構えについてです。